スイッチをいれて…異常事態

「ねえ、暑くて無理。これじゃ宿題できないって」

リビングのテーブルには芽依の算数ドリルが開いて置いてある。休みの日に芽依が率先して宿題をするのは珍しいことだった。それなのに暑いという理由で宿題をしなくなるのは勿体ないと思った。未来は軽く息を吐いた。

「じゃあ宿題をやってるときだけね。その間だけならクーラーをつけていいよ」芽依の笑顔を見て、未来はリモコン立ての中からエアコンのリモコンを取り、電源をつけた。どうせクーラーをつけるのなら自分もリビングでゆっくりしようと未来は思った。

「喉渇いてない? 麦茶持ってこようか?」

未来の声に子どもたちは2人とも元気に返事をした。未来は麦茶を3つ用意して、ソファに座った。3人それぞれがクーラーのついた部屋で好きなように過ごしていたが、最初に違和感に気付いたのは芽依だった。

「ねえ、全然涼しくないよ」

「あれ? そう? 27度じゃダメだったのかな?」

湿度を感じなくなったので心地よくはなっているが、たしかに涼しさはない。

未来はソファから立ち上がり、リモコンを持ち温度を26度に下げた。しかし効果はなく、涼しくなった感覚はまったくない。クーラーの近くに行き、送風口に手を伸ばしてみた。

「うわ、ぬる……」

なぜかクーラーはぬるい風を室内に送り続けていた。未来はリモコンを使って温度を下げ続けたが、この状態が改善することはなかった。

未来はネットでクーラーの状況を打ち込み、改善策を調べた。ネットに出ていた方法を試してみたが、すべて効果はなく、どうやらクーラーが故障しているらしいことが分かった。