未来はマンションのベランダの窓を開けて洗濯物を干した。空は雲に覆われているが、予報では雨は降らないと言っていた。太陽の光が照りつけている状態で洗濯物を干したいが、梅雨の時期なので雨が降っていないだけマシだろう。それでも分厚い雲がかかった空を見上げながら、未来は小さくため息をついた。

未来は夫の健太と小学2年生の娘の芽依と5歳になったばかりの息子の陽太の4人で駅から少し離れたマンションに暮らしている。健太は家電量販店の正社員で、土日もシフトに入ることが多い。その日も朝から仕事に出ており、未来は子どもたちと3人で休日を過ごしていた。

蒸し暑さに耐えきれない休日

未来は家族4人分の洗濯物を干してベランダからリビングに戻った。額にはすでにじんわりと汗がにじんでいた。湿った空気が体中にまとわりついているような気がして不快だった。

「おかーさーん!」

ダイニングテーブルの方から芽依の声がした。未来が振り返ると芽依がこちらに駆け寄ってきた。

「何? どうかしたの?」

「暑いからクーラーつけていい?」

芽依はそう言って壁に設置されたエアコンを指さした。ソファでは陽太がテレビを見ていたが、クーラーという言葉に反応して顔を上げた。

「ぼくもつけたい」

2人のお願いに未来は少し考えた。

暑さ自体は未来も感じていた。しかしまだ6月の中旬で夏本番はまだ先だった。それなのにこんな時期から冷房をつけていたら……と光熱費が頭の隅にちらついた。

「冷房はまだ早いって。窓開けたら涼しくなるんじゃない?」

そう言って未来はたった今閉めたリビングの窓を開けた。しかし風はあまり入ってこず効果は薄かった。