康介を襲う遺産の悪夢

電子レンジでコンビニ弁当を温めている間に、チラシや請求書を仕分けていると、役所からの封筒が出てきた。

「なんだ、これ」

封を切り、折り畳まれた書類を広げると、「固定資産税・都市計画税納税通知書」という見慣れない文言が並んでいる。さらに、そこに記載された納付金額を見て、康介は思わず目をむいた。

「はあ? 50万……?」

なぜ自分が身に覚えのない税金を支払わなければならないのか。しかし何度見直しても、納税義務者の欄には自分の名前がある。どうやら昨年亡くなった父の遺産らしい。母は10年以上前に他界しており、相続人は姉弟2人だけだったため、面倒な手続きはほとんど美沙に任せていた。だが、こんな土地や建物を受け継いだ記憶はない。

「おいおい、聞いてないぞ」

康介は缶ビールを呷ってから、テーブルの上でノートパソコンを開いた。納税通知書に記された所在地を検索欄へ打ち込む。聞いたこともない地名だった。地図を表示すると、自宅から電車とバスを乗り継いで半日近くかかる場所にある。

「こんなところまで、見に行けるかよ」

平日に休みを取るのも簡単ではない。かといって、次の休日を潰してまで確かめに行く気にもなれなかった。康介は地図上の印を動かし、ストリートビューを開いた。画面が切り替わり、細い道路沿いに古びた建物が現れる。

「……まさかこれじゃないよな?」

何度か角度を変えてみたが、ほかに該当しそうな建物はない。

改めて見ると、外壁はところどころ黒ずみ、屋根の端は波打っている。窓には雨戸が閉められ、敷地の周囲には伸び放題の草木が絡みついていた。人が出入りしている気配はなく、長く放置されていることだけは画面越しにも分かった。

康介は思わず顔をしかめた。

「こんな廃墟に、50万も払えっていうのか」