<前編のあらすじ>
ゴールデンウィーク、楓は夫・裕太と息子・璃空と家でのんびり過ごすつもりでいたが、義母・真理子が義父とともに訪ねてくることになる。真理子は遠回しな言い方で小言を重ねるタイプで、楓は以前から苦手意識を抱いていた。
真理子はリビングに飾られていた璃空の初節句用のキャラクター兜を見るなり、「安っぽい」と言わんばかりの態度を取り、自分が持参した裕太の昔の兜に勝手に入れ替えてしまう。
その後も真理子は、家事や育児のやり方にまで口を出し始める。璃空のことを思っての行動だと言いながら、楓に家事と育児をたたき込むとまで言い出し、楓は強いストレスを感じながらも不満を飲み込むしかなくなっていた。
●前編【「飾ってないのと一緒」義母の小言が止まらない…初節句の兜をめぐり嫁が飲み込んだ怒りと絶望】
さらに深まる義母との溝
真理子による家事指導は、裕太が買い物から帰ってくるまで続いた。
両手に提げた買い物袋とともに、リビングに入ってきた裕太は楓の様子や兜が替わっているのを見て、状況を瞬時に察したようだった。
「遅くなってごめん。母さんにまたなんかいろいろ言われてる?」
「ゴールデンウィーク中はこんな調子が続くかもしれないわね」
「大丈夫? 俺から母さんに言おうか?」
「大丈夫。そこまでめちゃくちゃなことを言ってるわけじゃないし。でもあの兜だけはどうにかしたいけど」
「あれが何かあるの?」
裕太に説明をしようとすると、昼寝から目を覚ました璃空のぐずる声が寝室から聞こえた。楓が寝室に向かい、あやしていると、真理子がやってきて璃空の面倒を引き取った。璃空も久しぶりにおばあちゃんに会えて嬉しいのか、さっきまでの不機嫌も忘れて真理子と一緒に遊び始めた。
自由になった楓は夕食の準備をしようとキッチンに向かった。裕太が買ってきてくれた食材を使いながら、手早く調理を進めていく。いつもと変わらないが、今日は2人分多く作らなければいけないし、味つけにもうるさい真理子がいたので、楓の腕には自然と緊張感がみなぎった。
楓はフライパンに火をつけて手が空くと、璃空の離乳食の準備を始めた。冷蔵庫から離乳食用に切っておいた野菜を取り出し、小鍋でくたくたになるまで煮ていく。すると、料理の音を聞きつけた真理子がキッチンへと入ってきた。
「離乳食?」
「はい。最近は柔らかいものなら、ある程度食べられるようになってきたので」
楓は答えつつ、璃空の様子をうかがう。璃空はつかまり立ちをしながら人形で遊んでいる。ソファには何やら話し込んでいる様子の裕太と良太郎の姿もあった。
「ちょっと味見をさせてくれる? あの子がどんなものを食べてるのか気になるわ」
そう言われたので楓はスプーンを真理子に渡した。真理子は小鍋からにんじんをすくい、口に入れた。
