止まらない義母からの嫌味
お茶を出したタイミングで、真理子はしきりにあたりを見回した。
「そういえば璃空と裕太の姿ないんだけど、どこに行ってるの?」
「夫は晩ご飯の買い出しに行ってもらってます。璃空は寝室でお昼寝中です」
そう言うと真理子は信じられないという顔をした。
「へぇ、璃空のこと部屋で独りぼっちにしているの? もし怪我でもしたらどうするの?」
真理子が寝室に飛んで行きそうな気配を感じて慌てて楓はテーブルの上に置いていたベビーモニターを見せた。
「大丈夫ですよ。今は眠ってますし、これで寝室の様子を確認することができますから」
モニター画面を見て真理子は悔しさを隠しながらうなずいた。テクノロジー万歳。ざまあみやがれ。
「はぁ、すごいわね。私が裕太を育てたときなんて付きっきりで見ていないといけなくて大変だったのよ。今の人は楽ができていいわね」
「そうですね。本当にありがたいですよ」
ちくちくと放たれる嫌味を無視しながら楓は頷く。真理子は値踏みするようにこちらを見ている。
「そうやって楽ばかり覚えて、ちゃんと家事が出来ているのか心配になるわ。部屋も殺風景だし。こうしておけば掃除は楽かもしれないけどね、子どもっていうのはいろんなものを見たり触ったりして感性が育つものなのよ。こんなところで璃空はちゃんと育つのかしら……」
「掃除が楽だからこんな感じにしてるわけじゃないですよ」
「まあしょうがないわね。私がこの家にいる間、あなたにみっちりと家事と育児をたたき込んであげるから。こんな状態を放っておく訳にはいかないからね。まずは掃除とか洗濯をどうやってるかを見せてもらうから」
真理子の言葉を聞いて楓は心底うんざりしたが、ついさっき吐ききっていたため息はもう出てくることすらなかった。
●初節句の兜飾りをめぐって義母・真理子に振り回され続けた楓。さらに家事や育児への口出しまで始まり、我慢は限界を迎えることになる…… 後編【「ほらもう言わんこっちゃないわ」義母の暴走が初節句を地獄に変えたゴールデンウィークの結末】にて、詳細をお伝えします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
