今期は増収増益も中計は未達の予想 成長戦略は?

先述のとおり、これまでの業績は厳しい状況でした。では、今後の見通しはどうでしょうか。計画を確認しましょう。

今期(26年3月期)は3年ぶりに増収増益の予想です。PVDFは主力の車載向けで鈍化を見込む一方、蓄電池向けは米国を中心に需要が伸びる見込みであるほか、前期に計上した在庫評価損のはく落影響から増益を計画します。

一方、PGAは赤字が継続する予想です。顧客のガス在庫の消化から需要は回復を見込むほか、手薄だった低温・超低温グレード製品の拡販に取り組むものの、黒字化には至らない計画です。ただし、収益は改善する見込みであり、全体の営業増益予想の一因となっています。

2月に公表した第3四半期の決算は順調でした。営業利益は前年同期比27.5%増と好調で、通期予想に対する進捗率は95.3%に達しました。ただし、事業環境や為替といった不確定要因から通期の見通しは据え置いています。

【クレハの業績予想(26年3月期)】

・売上高:1650億円(+1.8%)
・営業利益:140億円(+48.5%)
・純利益:100億円(+28.2%)
※()は前期比
※同第3四半期時点における同社の予想

出所:クレハ 決算短信

なお、上記の予想は従来の計画からは下振れています。24年5月に策定した中期経営計画では、今期の営業利益は200億円の設定でした。PVDFやPGAを中心に、策定時から環境が大きく悪化した様子がうかがえます。成長のカギは、PVDFとPGAが握っているといえそうです。

【営業利益の予想】

クレハの営業利益の予想
 

※機能製品…機能製品事業、化学製品…化学製品事業、樹脂製品…樹脂製品事業、建設関連…建設関連事業、その他関連…その他関連事業

出所:クレハ 決算説明会資料および中期経営計画
 

PVDFは今後、蓄電池に注力し成長を目指します。蓄電池はデータセンター向けに米国で市場が成長しており、当面は好調が続く想定です。クレハは生産能力を増強して拡販に努め、来期27年3月期以降の成長ドライバーとしたい考えです。

PGAも27年3月期は一定の回復を見込んでいます。中高温の鉱区は市況との連動性が高いとしつつも、ガスやオイルの生産量は堅調な見立てであり、需要は堅調としています。また、新しく投下した低温グレードの貢献も見込んでおり、売り上げは改善する見通しです。

クレハは収益性をどこまで高めていけるのでしょうか。成長フェーズへの復帰に期待がかかります。中期経営計画では、31年3月期に営業利益で350億円以上を目標としています。