株主還元が株価を下支え、DOE導入と自社株買いが好感
足元で株価を押し上げている主因は株主還元の強化です。クレハは25年5月、配当方針の引き上げと大型の自社株買いを発表しました。
配当方針は従来、配当性向で30%以上が基準でした。これをDOE(株主資本配当率)へと変更し、27年3月期までの2年間はDOEで5%を目指すとしています。今期(26年3月期)は前期比2.5倍の大幅な増配となる見通しです。
同時に公表した自社株買いは最大150億円を取得するものでした。これは自己株式を除く発行済み株式の11.26%に相当する規模です。クレハは24年5月、今期までの3年間で400億円の自社株買いを実施すると表明し、これまで250億円を取得していました。今回の発表は従来の計画に沿った内容です。
投資家はこの決定を好感しました。公表の翌営業日は株価が一時18.4%高と急騰します。
なお、自社株買いは6月に最大150億円から最大350億円(自己株式を除く発行済み株式の20.66%)へ引き上げられました。ただし、株価はこの発表の翌営業日に9.7%安と急落します。自己株式の取得が市場外へ変更され、市場内での需給は想定より弱まるとの思惑が働いたと考えられます。
もっとも、自社株買いの変更に伴う下落は短期に収束しました。株価は、冒頭のとおり現在まで上昇しています。
結局、自社株買いは変更前の方針で49億円を、変更後は341億円を取得し、計390億円となりました。従来の3年間で400億円を取得する計画は、640億円に大きく上振れた格好です。配当金の引き上げと合わせ、株主還元は大幅に強化されることとなり、投資家の買いを誘ったと考えられます。
