多数を占めるのはアリ派? キリギリス派? 

将来に備えることと、毎日の生活を充実させて今を楽しむこと。どちらが優先か。生活や生き方などについて全国2700世帯から回答を得た「国民生活に関する世論調査(速報)」(内閣府、2025年9月26日公表)から結果を見ていこう。

調査では「あなたは、今後の生活において、貯蓄や投資など将来に備えることに力を入れたいと思いますか。それとも毎日の生活を充実させて楽しむことに力を入れたいと思いますか」と質問を投げ掛けている。 

将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか

出所:「国民生活に関する世論調査(速報)」(内閣府)

貯蓄や投資など将来に備える 43.5%
毎日の生活を充実させて楽しむ 55.7% 

イソップ寓話ではアリがハッピーエンドを迎えるが、世間ではどちらを志向する人が多いのだろうか。

調査結果によれば、「貯蓄や投資など将来に備える」(=「備える」+「どちらかといえば備える」)と回答した人(“アリ派”)は43.5%。一方、「毎日の生活を充実させて楽しむ」(=「どちらかといえば楽しむ」+「楽しむ」)と回答した“キリギリス派”は55.7%。キリギリス派が半数を超え、アリ派を上回る結果となった。

ただし、いずれのグループも「どちらかといえば」とつける人が3分の2近くを占め、うまくバランスをとっている印象も受ける。

アリは夏の間せっせと食べ物を蓄え、来たるべき冬に備えた。人生にも不確実性が伴うため、ある程度の備えは大事だ。しかし使えきれないほどの蓄えをもっていても、限りある人生。あの世にお金をもっていくことはできない。逆に冬には飢えに苦しむキリギリスだが、夏の間はバイオリンを弾いたり、歌ったりして自分の人生を謳歌した。お金を節約してやりたいことを我慢し、充実した人生を送れなかったと後悔しては本末転倒だ。

「アリとキリギリス」は楽をして生きることを戒めた話ともいわれるが、人生を楽しむことを否定しているわけではないだろう。どうやったら人生を充実したものにできるかは人それぞれ。たとえば同じ調査で行った別の質問の「今後の人生で最も力を入れたいこと」は参考になるかもしれない。

前編「「仕事」それとも「健康」? 2700人が今後の人生で「最も力を入れたいこと」は?」