話を聞いてみることに
「ねえ祐太、最近さ、友達とコンビニ寄ったりするの?」
頭ごなしに怒るのも良くない気がして、夕食時、彩香はできるだけ平静を装って尋ねてみた。
「うん。たまに、ね。塾の休憩中とか、帰りに行ったりするよ」
「そうなんだ。いつもどんなもの買うの?」
「えっと、お菓子とか、シャーペンとか、そういうのだけど」
「それってさ……誰かに奢ってあげたりしてるの?」
「……別に。自分が欲しいのを買ってるだけ」
それだけ言うと、祐太は塾の宿題があるからと、さっさと自分の部屋に戻ってしまった。
彩香は、祐太を追いかけることも、それ以上問い詰めることもできなかった。
息子が何を考えているのかわからなかった。母親の自分から見ても、祐太は基本的に「いい子」だ。言われたことは守るし、時間にも正確。成績だって、塾の中では上位を保っている。
でもだからこそ、彩香は祐太の内面をあまり深くのぞこうとしてこなかったのかもしれない。親として最低限の管理をしていれば、問題ないと思っていた。あの子なら大丈夫――そう信じ込んで、楽をしていたのかもしれない。