株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内のカフェで投資談義を行っています。
神様:あけましておめでとうございます。Tさん、初詣では何を願いましたか?
T:おめでとうございます。私は平和な日常が続くことを願いました。日々の平和が一番です。
神様:いいですね。2025年が日本にとって実りあり、平和で過ごしやすい一年になることを願いましょう。
T:ところで、昨年末から街中では刃物による殺傷事件など、不安が募る事件が相次ぎました。近年の強盗事件の多発もそうですが、日本の治安が心配です。
神様:そう感じる気持ち、よくわかります。昨年12月14日、北九州市内のファーストフード店で中学生2人が襲われた事件がありました。中学生1名が亡くなり、犯人は刃物を所持したまま逃走。5日後の19日に逮捕されるまで、多くの報道がされたことは記憶に新しいところです。
T:近隣の学校では部活動を中止し、学校を自主的に欠席する子どもも多数いたようです。逮捕の決め手は、防犯カメラやドライブレコーダーだったそうですね。カメラの映像を丁寧に追跡し、犯人を突き止めた警察の捜査力に頭が下がります。
神様:日本の警察が街頭防犯カメラを積極的に導入しはじめたのはいつだと思いますか?
T:昔からあるものと思っていましたが、そう言えば、いつからでしょうか?
神様:2003年です。
T:意外と最近に思えますね。なぜ2003年なのでしょうか?
神様:法務省の「犯罪白書」を見るとよくわかるのですが、日本の刑法犯の認知件数は1996年から増加し続け、2002年には約285万件まで増えました。しかし、2003年からは減少に転じ、2015年から2021年までは毎年戦後最少を更新しました。
T:街頭防犯カメラを導入して減少した、ということですか。
神様:警察庁によると、刑法犯の認知件数の増加は、街頭犯罪及び侵入犯罪の認知件数の増加が要因とされています。街頭犯罪とは、道路、公園、駐車場・駐輪場、駅などの場所で発生する自転車盗難などの乗り物ねらい、部品ねらい、車上ねらい、自動販売機ねらい、器物損壊などの犯罪のことを指します。
T:それでは侵入犯罪とは、強盗や空き巣など、住居に侵入する犯罪ですね?
神様:おっしゃる通りです。警察では2003年を治安回復元年とし、民間事業者と協力して街頭防犯カメラの設置を行い、交番機能の強化、検挙体制の整備、さらに犯罪情勢の分析なども積極的に行いました。その結果が認知件数の減少につながっています。Tさんは、世界で最も監視カメラが設置されている国はどこか、わかりますか?
T:おそらく、中国でしょうか? 監視カメラの話はよく聞きますよね。
神様:その通りです。IHS Markitの調査による、1,000人当たりの監視(防犯)カメラ台数の都市別設置台数ランキングを見ると、上位10都市のうち実に8都市が中国の都市だそうです。その他の国では英国のロンドン、米国のアトランタなどがランクインしています。日本では大阪が70位、東京が77位です。中国の国情を考慮したとしてもなお低水準と言えます。
T:日本も街中を見渡すとたくさん設置されているようにも見えますが。
神様:住宅への設置は20%前後と言われており、まだ普及の余地があると言えるでしょう。
T:なるほど。住宅にも監視カメラを設置することが当たり前になると、より安心感がありますよね。
神様:国内の監視カメラ出荷台数は伸び悩んでいますが、世界需要の伸長とあわせて国内需要も伸びる可能性があります。防犯だけでなく、店舗では在庫管理やマーケティング、住宅ではペットや高齢者の見守りなどにも活用されるようになってきました。監視カメラ業界の今後の市場の動向に注目しましょう。