株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内の喫茶店でコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。

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神様:Tさん、「カプセルトイ」って何かご存知ですか?

T:カプセルトイですか? あ、街中でよく見る「ガチャガチャ」とか「ガチャ」と呼ばれるおもちゃのことですか?

神様:そうですね。玩具メーカーによって名称が異なりますが、一般的にはカプセルトイと呼ばれています。

T:私が子どもの頃には、人気キャラクターの消しゴムが流行っていて、よく集めたものです。機械にお金を入れて、回転式のレバーを回すあの瞬間、どんなカプセルが出てくるかわからないドキドキが魅力ですよね。

神様:カプセルトイの発祥の地は、実は日本ではありません。もともとは米国でキャンディーを販売する自販機におまけが付く形で登場したようです。日本では1960年代半ばから見られるようになりました。

T:意外に日本発祥ではないのですね。

神様:しかし、日本に登場した後、日本で独自の進化を遂げたと言えるでしょう。カプセルトイは1960年代以降、何度もブームを生み出します。そして、今またカプセルトイ市場が国内で急成長しています。市場の推移を見ると、2023年度は720億円となり、2015年度の2.1倍の水準に増加しています。玩具市場全体では27.3%増でしたから、カプセルトイ市場の成長は玩具市場全体の成長ペースを大幅に上回っています。

 

T:今まさにブームを迎えているということですか? 一体何が要因でしょうか?

神様:現在は“第5次ブーム”と言われています。第5次ブームでは、大型専門店が続々と出店されていることが特徴です。また、女性の購入客が多いことも特徴と言えるでしょう。

T:私が子どもの頃は、1回まわす金額は100円など安かったと思いますが、今は高いですよね。ターゲットが子どもから大人にシフトしているのでしょうね。

神様:中には紙幣を使用するタイプも登場し、高単価化が進んでいます。裏を返せば、それだけクオリティが高くなっているとも言えます。カプセルトイ市場の隆盛の背景には、ユーザー層の拡大があります。アニメの登場人物などを活用したグッズの開発が盛んに行われ、思わず欲しくなるようなアイテムが大人の興味を惹きつけています。ハピネット「カプセルトイの大人需要実態調査」の2024年版によると、20代30代女性の2人に1人が、大人になってからカプセルトイを購入したことがあるそうです。男性も含めた20代~60代以上の全年齢で見ても、3割超が購入したことがあると回答しています。

 

T:カプセルトイ専門店に入ると、おもちゃの自販機がずらっと並んでいる様は圧巻です。ジャンルも幅広いですよね。

神様:カプセルトイメーカーでは、コンピューターや3Dプリンターを使い企画・デザインから製作、出荷までを効率的に行うことができます。メーカーの数も増えています。昔は駄菓子屋さんの店頭にあったものが、交通機関の拠点や商業施設、そして観光地に登場し、さらには専門店が誕生するなど、販路拡大の傾向は今後も続くでしょう。

T:大型店の増加で訪日外国人客も取り入れ、海外展開もできれば、さらに成長が期待できそうです。それにしても、どうしてあんなに回すことにハマってしまうのでしょうね。何が出てくるかわからないドキドキ感でしょうか。

神様:ハピネットによる「大人需要実態調査」2024年版によれば、カプセルトイの魅力で最も多いのは「クオリティの高さ」でした。ドキドキ感をも上回るようなクオリティの高さが魅力なのです。また、よく購入するカプセルトイは「キャラクター×フィギュア」が最多でした。自分が好きなアニメなどのキャラクターの、クオリティの高いフィギュアやかわいいグッズが手軽に手に入る場所として、カプセルトイは身近な存在となっているのです。

T:なるほど。“推し”のグッズであれば何としても手に入れたいですよね。熱烈なファンを惹きつけてやまないカプセルトイ、これからもブームが続きそうです。