三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年11月の公募ファンドの純資産残高は106兆5878億円で前月比で4760億円増加して史上最高を更新した。一方で増加額は前月の5兆4000億円増からは大きく減額した。資産別には「外国株式型」が約59兆564億円と前月から1兆1773億円増加した。次に残高が大きい「複合資産型」は約11兆9797億円で前月比604億円の減少、「国内株式型」は約11兆9371億円と前月比1187億円減だった。

資金流出入額は約7610億円で前月の6060億円から流入額が増加した。資金流入額が前月を上回るのは4カ月ぶりだ。資産別にみると流入額の大きな資産クラスは「外国株式型」(約7660億円、前月は約6210億円)、「複合資産型」(約570億円、同約640億円)。「外国株式型」では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に約1683億円の資金流入があり、史上初めて純資産総額6兆円を超えるファンドが誕生した。資金流出は「エマージング株式型」(約320億円、前月は約230億円の資金流入)が大きくなった。「エマージング株式型」が資金流出になったのは約2年ぶりのこと。インド株式ファンドからの資金流出が目立っている。

 

◆インド株の低調で先進国株式に資金がシフト?

「エマージング株式型」が資金流出に転じた大きな理由は、好調だったインド株式市場の失速にある。インド株式ファンドからの資金流出額は約150億円となり、「エマージング株式型」からの流出額の半分近くを占めた。インド株式は主要株価指数である「SENSEX」が今年の9月下旬に上場来高値を付けるなど好調に推移していたが、10月以降はインフレ懸念や一部企業業績の下方修正などを嫌気し株価は低調に転じている。

ただ、インド経済は中間所得層の拡大などによって消費支出が伸びている他、政府もインフラ投資を拡大する方向にあり、今後も力強い成長が続くと考えられている。今回の資金流出も、株価上昇が一服したことにともなう利益確定の売りとみることもできよう。「『外国株式型』の流入額が前月対比で大きく増加していることから、 足元の株価が低調な『エマージング株式型』からパフォーマンスが好調な『外国株式型』へ資金移動が起きた可能性もある」と三菱アセット・ブレインズは分析している。