今第1四半期は純利益16倍、エネルギー・自動車がけん引 AI拡大で光デバイスも好調

次に業績を確認しましょう。

住友電工の2024年3月期は好調でした。増収を主因に各段階利益で過去最高を更新しています。増収は自動車用ワイヤーハーネスや防振ゴム、電力ケーブルの販売が好調だったことが奏功しました。また円安が進んだことも売り上げを押し上げています。

【住友電工の業績(2024年3月期)】
・売上高:4兆4028億円(+9.9%)
・営業利益:2266億円(+27.7%)
・経常利益:2153億円(+24.2%)
・純利益:1497億円(+32.9%)
※()は前期比

出所:住友電工 決算短信

好調は続いています。住友電工は2024年8月に今期(2025年3月期)の第1四半期決算を発表しました。営業利益と経常利益は前年同期比で約3倍、純利益は約16倍に急増しています。

第1四半期は産業素材を除く4事業で増益となりました。特に環境エネルギーと自動車は前年同期比で100億円を超える増益となり、全体をけん引しました。環境エネルギーの増益には銅価格の上昇も影響しています。

情報通信はデータセンター向け光デバイスの好調を主因に31億円の増益、エレクトロニクスはフレキシブルプリント回路の需要増を主因に18億円の増益となっています。光デバイスの好調は、生成AIの拡大が影響したようです。

環境エネルギーと自動車、エレクトロニクスは第1四半期として過去最高益を更新しました。通期予想も上方修正に踏み切っています。業績予想の修正は、中間決算以降に行われる傾向にあります。第1四半期時点での上方修正は、それだけ業績が強かったことをうかがわせます。

【住友電工の業績(2025年3月期 第1四半期)】
・売上高:1兆1155億円(+12.2%)
・営業利益:532億円(+181.4%)
・経常利益:587億円(+242.9%)
・純利益:317億円(16.4倍)
※()は前年同四半期比

【住友電工の業績予想(2025年3月期)】
・売上高:4兆6000億円(+4.5%)
・営業利益:2500億円(+10.3%)
・経常利益:2430億円(+12.8%)
・純利益:1450億円(-3.2%)
※()は前期比
※同第1四半期時点における同社の予想
※上方修正の概要(期首予想比):売上高+1000億円、営業利益+100億円、経常利益+110億円、純利益+50億円

出所:住友電工 決算短信

セグメント別の業績予想の修正は、環境エネルギーで引き上げが大きくなりました。期首予想比で売上高を1000億円、営業利益を50億円増額しています。エレクトロニクスもそれぞれ100億円、20億円を引き上げています。

情報通信は売上高を据え置いたものの、営業利益は50億円の増額となっています。一方、主力の自動車は営業利益で20億円の減額を見込んでいます。

【セグメント別、通期予想の修正の概要(2025年3月期 第1四半期)】

出所:住友電工 補足資料