6期ぶり最高益、値上げが奏功 子会社も押し上げ
冒頭の通り、山崎製パン株式は2023年から上昇傾向にあります。きっかけとみられる2023年度の業績を確認しましょう。
山崎製パンの2023年度は大幅な増益でした。営業利益は1.9倍、純利益は2.4倍に増加しています。営業利益、純利益はともに過去最高とみられます。最高益の更新は2017年度以来6期ぶりです。
【前期の業績(2023年12月期)】
・売上高:1兆1756億円(+9.2%)
・営業益:420億円(+90.5%)
・経常益:455億円(+74.2%)
・純利益:302億円(+143.9%)
※()は前期比
増益は値上げが奏功しているとみられます。
山崎製パンは近年、主力製品の価格を引き上げています。2022年からの値上げの回数は、食パン部門で3回、菓子パン部門で4回に上ります。これらとは別に、2023年1月~2月には「薄皮シリーズ」の内容量の減少(5個→4個)や「ランチパック」の値上げも実施しました。
【山崎製パンの主な価格改定】
食パン | 菓子パン | 食事パン | |
2022年1月 | 9.0% | 6.8% | ― |
2022年7月 | 8.7% | 4.3% | ― |
2023年7月 | 7.6% | 6.8% | ― |
2024年7月 | ― | 7.2% | 7.2% |
※パーセンテージは値上げ対象製品群の平均価格改定率
輸入小麦粉の政府売渡価格の引き上げやエネルギー価格の上昇などから、パンの製造コストは増加傾向にあります。山崎製パンは増加したコストを販売価格へ転嫁することで収益の改善を目指しました。値上げ後も販売は好調で、食品事業の各部門はいずれも売上高を伸ばしています。
【食品事業の各部門の売上高(2023年12月期)】
・食パン:1086億円(+8.2%)
・菓子パン:4334億円(+14.0%)
・和菓子:738億円(+4.2%)
・洋菓子:1519億円(+4.8%)
・調理パン・米飯類:1732億円(+7.5%)
・製菓・米菓・その他商品類:1732億円(+7.5%)
※()は前期比
これらの取り組みから、山崎製パンの売上高は前期比で986億円増加し、売上原価の増加分(631億円)を吸収しています。また2021年度に461億円かかっていた広告宣伝費は173億円に減少しており、大幅な営業増益につながりました。
営業利益の増加はグループ会社も貢献しています。不二家を除き、主要子会社の多くが増益となっています。営業利益の増加額は、山崎製パン単体で155億円、子会社群で44億円です。