2023年注目の国内割安株ファンド
2023年に入り、「ノムラ・ジャパン・オープン」の純資産総額が大きく増加しています。同ファンドの純資産総額は長く低迷しており、2022年末でおよそ290億円でした。それが2023年4月には490億円を突破しています。
【純資産総額の推移】
ノムラ・ジャパン・オープンは20年以上運用されている銘柄です。なぜ急にノムラ・ジャパン・オープンが注目されるようになったのでしょうか。
【ノムラ・ジャパン・オープン】
東証の株価改善策で期待が集まる
ノムラ・ジャパン・オープンは、東証が株価上昇を働きかけていることが期待され、資金が集まっていると考えられます。
東証は2022年4月に市場区分を再編し、それに伴って「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」を設置しています。その第5回会議が2022年12月に開催され、その中でPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回るなど、株価が割安に放置されている上場企業に改善を呼びかける案が示されました。
PBRは「株価÷1株あたり純資産」で計算される株価指標で、分子である株価が上昇するとPBRも上昇します。例えばPBR 0.8倍の株式がPBR 1倍となるには、1株あたり純資産が変わらない限り、株価が25%上昇しなければいけません。
つまり、東証がPBR 1倍割れの企業に改善を呼びかけるということは、それらの株式の値上がりに期待できるということです。そして2023年3月、東証はPBR 1倍割れの上場企業などに、株価を引き上げる具体策の開示と実行を要請しました。
このような経緯で、国内の割安株は株価の上昇が期待されるようになり、同じく国内の割安株で運用されるノムラ・ジャパン・オープンにも資金が向かったと考えられます。
長い運用実績と好成績が投資家を呼び込む
ノムラ・ジャパン・オープンの良好な実績も、同ファンドが資金を集めたことと無縁ではないでしょう。
ノムラ・ジャパン・オープンは1996年2月から運用される長寿ファンドです。設定来リターンは80%を超えており、ベンチマークのTOPIXを大きく上回っています。また直近のリターンもTOPIXに引けを取りません。
【期間騰落率(2023年3月末時点)】
実績は将来の運用を保証するものではありませんが、過去に優秀な成績を収めたファンドはやはり注目されやすく、ノムラ・ジャパン・オープンが人気化した理由の1つと考えられます。