岸田首相が打ち出す「資産所得倍増プラン」に関する報道が耳目を集めているように、投資による資産形成に多くの人の関心が寄せられています。人生100年時代を迎えつつある日本において、これからは「預貯金がわりに投資でお金を育てる」ことは必須になると言えそうです。
とはいえ、「どんな商品を選べばいい?」「株価チャートの値動きが気になってしまう」etc. 投資にまつわる不安は多くの人について回るもの。
こうした不安に対し、これまで数千人に資産運用のアドバイスを行ってきたIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)福田 猛氏は、“買った後はほうっておけばいい”投資信託の「積み立て投資」こそが、シンプルかつ最高の投資法だと提唱します。
そんな投資信託の「積み立て投資」について、その本質や“最高”であると言える理由、そして具体的な商品選びまで、分かりやすく解説されたのが書籍『お金の不安から一生自由になれる考えない投資生活』です。
今回は同書の第3章「コロナ禍でも勝てた人の習慣」の一部を特別に公開します(全3回)。
※本稿は福田 猛著『お金の不安から一生自由になれる考えない投資生活』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
インデックス投資とアクティブ投資、どちらが儲かる?
投資信託に難しいテクニックは何も必要ありませんが、長期間持ち続けられる商品を選ぶ必要はあります。それさえできれば、極端な話、5年も10年もほったらかしにしておいても資産を増やす道が開けます。
宝くじは当たらなくても企業の社長になれなくても、お金に困らなくなる方法はあるのです。
投資信託は、大きく分けてインデックスファンドとアクティブファンドの2種類があります。それぞれのファンドに投資することを、「インデックス投資」「アクティブ投資」と呼んでいます。
インデックスファンド
インデックスとは指標や指数という意味です。
インデックスファンドは、一言で言うなら「平均点を取りにいく」ファンドのこと。
日経平均やTOPIX、アメリカのS&P500など市場全体の動きを表す指数に連動するように運用することを目指しています。
たとえば、日経平均株価に連動する商品なら「日経平均インデックス」、S&P500に連動する商品なら「S&P500インデックス」といった名前がついているので、名前を見れば大体どんな商品かわかります。
これだけ多くの銘柄を一度に買うのは、個人投資家はさすがに真似できません。
•長所
銘柄の数が多いので、分散投資効果が際立っています。
インデックスファンドは、世界中の何千もの会社の銘柄を組み込んでいる商品もあります。これは、以前は一部の富裕層しかできなかったような取引です。
それが今、ネット証券で、ワンクリックで発注できるようになっているので、テクノロジーの進化そのものです。
そして、インデックスファンドの最大のメリットは手数料などのコストが安いとこ
ろ。
投資信託のコストは、おもに「販売手数料」と「信託報酬」です。
販売手数料は、投資信託を取得するときにかかる手数料です。
信託報酬は投資信託を保有している間、残高の年率数%という形で毎日、日割りでかかります。
インデックスファンドは市場の指数に連動させるだけなので、運用会社はある程度、機械的に運用できます。運用の手間がかからないので信託報酬は低めになるのです。
•短所
相場が下がれば、それに連動してインデックスファンドもマイナスになります。
たとえば、日本株のインデックスファンドを選ぶと、価格の変動が大きいので、積み立てなら下がったときに口数を増やせますが、一括投資だと怖くなって途中でやめたくなるかもしれません。
インデックスは、コストは安くてもリスクが低いわけではないので、その点は肝に銘じておいてください。
また、手数料が安ければ運用会社はあまり儲からないので、人気がなくて投資家が集まらない商品は、途中で運用をストップするリスクもあります。そうなったら、損をして終わりという事態になるのも免れません。
アクティブファンド
アクティブファンドは、運用のプロであるファンドマネージャーが銘柄を選んで運用することで、インデックスファンド以上のリターンを目指す商品です。
組み入れる銘柄数は商品によってまちまちで、数十銘柄に厳選するものもあれば、数百銘柄のものもあります。
しかし、無数の銘柄からプロが本当にいいものだけを選んだ、選りすぐりの商品があると聞いたら、どう思いますか?
しかも、それでインデックスファンド以上の利益を出している商品もあるのです。
それがアクティブファンドの目指すところです。
•長所
アクティブファンドのメリットは、運用の自由度が高いことです。
たとえば国内市場には「日経225」(日経平均株価の別名。東証一部上場企業のなかで株取引が活発な225社を選んだ指数)の銘柄以外にも有望な銘柄はたくさんありますし、225銘柄の中にも業績が悪い企業があります。
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが銘柄を選び抜いて運用しています。個人投資家があまり知らない有望企業を見つけ出して、銘柄に加えたりもします。その企業が大きく成長したら商品の価格も上がって、市場の指数を超えられるのです。
投資信託は地味で面白みがないという投資家も多いですが、アクティブファンドは未知数の銘柄が含まれているので、「成長する面白さ」は体感できるかもしれません。
•短所
綿密に企業を分析して投資するため、手数料は高くなります。
そして、残念ながらアクティブファンドを担当するすべてのファンドマネージャーが優秀ではないのも事実です。優秀ではないファンドマネージャーが運用している商品を選んでしまったら、高いのにおいしくない料理を食べさせられるようなものかもしれません。
たとえば飛行機に乗るとき、料金が高いファーストクラスやビジネスクラスは、ゆったりした席に座れますし、サービスも確実によくなります。
しかし、投資信託は「手数料が高いほどいい商品」といった、わかりやすい基準がないのが不便なところです。だから手数料が高い場合は、それだけの価値がある商品かどうかを見極める必要があります。
実際には、ベンチマーク(基準)以上のリターンを目指すと言っても、残念な結果に終わる商品は無数にあります。