〈前編のあらすじ〉

バツイチ独身男性の相談者・近藤さん(仮名・57歳)。医療技術者として総合病院で働いていますが、仕事が激務でメンタルにも不調をきたしていると言います。

貯蓄は6000万円(すべて預貯金)あり、早期退職も可能ではないかとFP事務所を訪れます。事前に自身で調べた結果、ここ数年話題の「FIRE」なら、まさに自身の求める「生活のための労働からの解放」が叶うかもしれないと考えていました。しかし、そのFIREにはリスクをとって投資をすることは避けて通れません。

頭では必要だと分かっても、いざ投資となるとその一歩が踏み出せない近藤さん……FPはそんな近藤さんにある金融サービスを紹介します。

●前編はこちら

 

自分であれこれしなくてOK! 「お任せ」できる運用方法

自分なりにインデックスファンドなど勉強したものの一歩を踏み出せないという近藤さんに、私からはバランスファンドやターゲットイヤー型ファンド、ロボアドバイザーなど、ある程度「お任せ」できる運用方法を紹介しました。

それぞれの特徴を説明したところ、近藤さんはロボアドバイザーにピンとくるものがあったようで、いろいろと質問をしてきました。

ロボアドバイザーとは?

ロボアドバイザーはAI(人工知能)を活用して投資の提案や運用代行をする金融サービスです。ロボアドバイザーには投資のアドバイスのみを行う「アドバイス型」と、運用代行までを行う「投資一任型」の2種類があります。投資一任型では、ロボアドバイザーからの提案をユーザーが承認すると、運用商品の買い付けか資産配分の変更まで自動で行います。ユーザーは銘柄選びや取引のタイミングに悩む必要はありません。最新のアルゴリズムによる分散投資のため、初心者がやみくもに運用するよりも堅実な成果が期待できます。ロボアドバイザーでは投資信託やETFで運用を行い、預かり資産に応じた運用手数料がかかります。投資信託やETFの投資経験がある人にとっては、余分なコストがかかるサービスと感じられるかもしれません。一方、知識ゼロの初心者や、投資に時間をかけられない人にはロボアドバイザーは適した方法と言えます。

運用のすべてをお任せできる点や主要なロボアドバイザーの運用実績を知り、近藤さんは興味を持ちました。同じような投資一任サービスとして、店頭証券会社の「ファンドラップ」があります。しかしロボアドバイザーはファンドラップより運用手数料が安く、近藤さんが苦手な「人との接点」がありません。ロボアドバイザーの提案内容が気に入らなければ、承認しなければいいだけです。

とはいえ、ロボアドバイザーにも注意点が

投資対象には値動きがあり、将来の運用益がいくらになるかは確定していません。期待リターンとはあくまで目標であり、上回ることもあれば下回ることもあり、平均してだいたいどのくらいかという数値です。ロボアドバイザーは運用をお任せできますが、成果については自己責任であることを頭に入れる必要があります。