finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

曲がり角のIFAビジネス(2)供給が先行気味の “オルタナティブ投資”はIFAの新たな活路になりうるか?

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2026.01.28
会員限定
曲がり角のIFAビジネス(2)供給が先行気味の “オルタナティブ投資”はIFAの新たな活路になりうるか?

ビジネス環境が変化する中でアドバイザーとしての付加価値の維持・向上を図る手段として、オルタナティブ商品への関心が広がっています。政府が国内成長分野への資金供給の文脈でテコ入れを進める一方で、事業者側では投資家に適切な提案を行う人材の不足も課題となっています。慎重派も少なくない中、オルタナ商品はIFA法人の新たな活路になり得るのか。全国のIFA法人の状況を調査した「IFAエグゼクティブ・サーベイ2025」をもとに、直近の政策動向を含め現状を整理してみます。

内部要因と外部要因の結節点に

サーベイによると、オルタナティブ商品について現時点で「取り扱っている」と回答したIFA法人は30.4%に。「今後検討したい」(17.4%)を合わせると半数近くがオルタナティブ商品に対して前向きなスタンスだと言えます。既に取り扱っている、あるいは今後検討したいオルタナティブ商品の類型は、プライベートクレジット、PEがいずれも29.0%で並んでいます。

 

 

一般的に、オルタナティブ商品は戦略ごとの個別性が強く、提案のハードルは高めです。にもかかわらず、IFA業界で関心が広がっている要因として、行政側の政策的な後押しがあると考えられます。

 

数年前まで、政府はオルタナティブ商品の政策的な扱いについて曖昧な態度を維持していました。しかし、金融庁は2025年6月末に公表した「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2025」の中で、特に国内オルタナティブ投資について後押しする姿勢を明確化させました。この中では「国内オルタナティブ投資」に関する独立した章立てが設けられ、オルタナティブ投資の伸びしろの大きさを示すデータを紹介。特に非上場株式への投資について、「(日系大手が)グループ会社の知見を活用しやすい環境にある」と指摘し、事業者に積極的な検討を促しました。担当幹部も報道陣に「国内の成長を促進する観点からは、日本のVCに対する投資が進んでほしい」と明言。リスクマネーの流れ道を支えるインベストメントチェーンの活性化を通じ、国内の成長分野を資金面で支援する考えを示しました。

 

 

今回のサーベイでは、オルタナティブ投資を検討する理由についての設問で、「顧客のポートフォリオ分散のため」とする回答が33.3%で最多に。「富裕層マーケティングのため」(29%)、「顧客ニーズがあるから」(26.1%)、「商品・サービスでの差別化」(同)と続いています。ニーズを捉えて競争優位性の確保を目指す各法人の内部要因と、政策的な思惑をベースとした行政からの働きかけという外部要因の一致が見て取れます。

 

 

「資産運用立国」政策の生みの親である岸田文雄元首相も、退任後、オルタナティブ投資の促進についていっそう踏み込んだ発言をしています。昨年10月(高市政権発足後)に登壇したイベントでは、「資産運用会社の皆さんには、稼ぐ力のある有望な日本企業を見極め、家計の資産形成を支える良質な運用商品を組成してほしい」と発言。アセットオーナーに対しても、日本企業に投資するPEファンドの投資案件への出資拡大を呼びかけました。

 

課題は投資家のニーズ発掘

政官が運用業界への働きかけを強める中、少なくとも供給面は環境整備が進みつつあります。一方で課題となるのは、需要と供給をつなぐ提案・営業の機会の拡大です。事業者からは「オルタナ商品が現場に届いても、それを語れる人材がいない」(有力生保会社の大口営業担当幹部)といった声も聞こえ、金融分野全体で専門人材が不足していると言えそうです。

 

政官を含めた資産運用界全体では、オルタナティブ投資を語れるアドバイザーの「ニーズ」は高まっている状況です。肝心の投資家側のニーズを発掘し、千差万別のオルタナティブ商品から顧客に合ったソリューションを選別する目利き力を持った人材を確保できるのであれば、IFAが大手金融機関との差異化によって存在感を示す一手段になるかもしれません。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #IFA

おすすめの記事

IFA法人のパイオニア、GAIAが上場 中桐啓貴社長に聞く 
フィービジネスを日本で定着させるために

finasee Pro 編集部

金利ある世界で、金融機関は何を支えるのか――資産運用立国の提言と国会質疑から見える「全体設計」への転換

文月つむぎ

三井住友銀行で「日経225」や「S&P500」の人気に勢い、「世界のベスト」もトップに返り咲く

finasee Pro 編集部

野村證券の人気ファンドは「半導体」「IoT」「宇宙開発」など社会変革を担うテクノロジーに集中

finasee Pro 編集部

パフォーマンスは「eMAXIS Neo」や「半導体」など先端技術関連に集中=2026年5月ファンド収益率上位

finasee Pro 編集部

「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド

finasee Pro 編集部

著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
三井住友銀行で「日経225」や「S&P500」の人気に勢い、「世界のベスト」もトップに返り咲く
金利ある世界で、金融機関は何を支えるのか――資産運用立国の提言と国会質疑から見える「全体設計」への転換
野村證券の人気ファンドは「半導体」「IoT」「宇宙開発」など社会変革を担うテクノロジーに集中
日本の金融競争力を左右する「プライベート市場のデータ基盤高度化」―課題と現在地
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
信託ならではの専門性をオンラインで実現 独自のハイブリッド型チャネル戦略を推進 case of 三井住友信託銀行
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」第19回:デジタル化の否応なしの進展が中核市の人口流出を加速させる?
【連載】金融史観~金融史が語る資産形成の未来~
⑦変化する株式と国債の関係
熱狂なき「投資立国」…暗号資産、マイナンバー紐づけで政官の温度差がいっそう拡大?
【オフ座談会vol.2:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
新NISA戦略を運用会社に聞く⑥ アセットマネジメントOne、窓口でも低コスト「たわらノーロード」をきっかけに幅広い商品提案につなげる
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
SBI証券の売れ筋で「S&P500」が巻き返す、大型IPO接近で人気化する「NASDAQ100」よりランクアップ
資金流入額が回復、「国策に売りなし」で国内AI、半導体、防衛などのファンドが人気=26年5月投信概況
野村證券の人気ファンドは「半導体」「IoT」「宇宙開発」など社会変革を担うテクノロジーに集中
パフォーマンスは「eMAXIS Neo」や「半導体」など先端技術関連に集中=2026年5月ファンド収益率上位
顧客の「将来」と「今」に価値を提供し、地域に好循環を生み出すのがFFGの使命 case of 福岡銀行/ふくおかフィナンシャルグループ
日本の金融競争力を左右する「プライベート市場のデータ基盤高度化」―課題と現在地
インデックス投資から始めた顧客を「思考する投資家」へ導くために ――対面営業を主体とする投信販売会社・本部投信担当者に求められる視点――
信託ならではの専門性をオンラインで実現 独自のハイブリッド型チャネル戦略を推進 case of 三井住友信託銀行
顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる
NISAの次に問われる本丸--企業型DC・iDeCo、個人向け国債、そして資産形成助言の再設計
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」第19回:デジタル化の否応なしの進展が中核市の人口流出を加速させる?
「支店長! 研修は受けたのですが、投信をセールスできる気がしません。慣れるしかないのでしょうか?」
顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる
インデックス投資から始めた顧客を「思考する投資家」へ導くために ――対面営業を主体とする投信販売会社・本部投信担当者に求められる視点――
三井住友銀行で新ファンド「フューチャーガイド」がトップ、「世界のベスト」も根強い人気
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
SBI証券の売れ筋で「WCM」がランクイン、「FANG+」を押しのけて高い順位に進んだ理由は?
信託ならではの専門性をオンラインで実現 独自のハイブリッド型チャネル戦略を推進 case of 三井住友信託銀行
ファンドアナリスト篠田 尚子が2026年第1四半期を振り返る~投資信託の今と、これから
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら