finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
運用会社ブランドインテグレーション評価2024結果発表

【運用会社ランキングVol.3】地銀・第二地銀・証券会社、本部・支店それぞれで分かれる結果、支持を左右する要因は?/販売会社一般編②

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2025.02.25
会員限定
【運用会社ランキングVol.3】地銀・第二地銀・証券会社、本部・支店それぞれで分かれる結果、支持を左右する要因は?/販売会社一般編②

投信販売会社による投信運用会社の評価である「運用会社ブランドインテグレーション調査(以下、BI調査)」の回答内容をブレイクダウンしてみていくと、個々の運用会社の強みや業態による運用会社の評価の違いなどが見えてくる。販売会社を「地方銀行」「第二地銀」「証券会社」に区分し、さらに、「本部」と「支店」、また、「営業部門」と「商品開発・企画部門」の違いによる特徴をみてみた。

営業の現場からの厳しい評価

2024年のBI調査で総合トップになった日興アセットマネジメントだが、調査対象を支店に勤務している人に絞ると第4位にまで順位を下げ、「営業部門」の担当者だけの回答では第5位になってしまう。この調査は、国内系と外資系を合わせて国内に拠点を持つ49社の運用会社を対象としているため、トップ10に入ることそのものが価値のあることではあるが、それでも総合トップでありながら、特定のグループの中では第5位にまで順位を下げてしまうというのは興味深い。しかも、評価が低いのは「支店」や「営業部門」という顧客(投資家)に直接接している部門だ。

 
 

「支店」や「営業部門」の回答をみると、「運用力」の項目でともに第8位という低い評価になり、「商品開発力・企画力」の評価が「支店」では第8位、「営業部門」では第4位という結果だった。「運用力」や「商品開発力・企画力」という運用商品に関係する項目は、顧客との接点だけに営業部門には非常に大きな影響がある。そこで思い起こされるのは、日興アセットマネジメントが米ARK社と組んで提供しているファンドが2022年に大崩れした経験だ。「破壊的イノベーション」をテーマに高成長株を独自の分析で発掘することに強みのあるARK社が実質的な運用を担うハイテク株ファンドの数々は、2021年半ばまでは快調に上昇していたのだが、2022年に一気に崩れた。「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」は2021年2月高値3万438円が2022年12月には7785円に下落。「グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンド」は2021年4月に設定されたばかりで2021年11月の高値1万597円が2022年12月に4067円に下落した。この急激なファンドの運用悪化は、そのファンドを購入した顧客フォローで販売員に負荷がかかったことは間違いない。

幸いにして日興アセットマネジメントの「サポート力」に対する評価は「支店」「営業部門」ともにトップだ。「営業担当者・研修担当者の質」に対する評価も高い。ARK社関連のファンドが急落するさなかにあっても、日興アセットマネジメントの担当者は販売会社に対して運用状況の情報提供などを賢明に続けていたと想像される。また、ファンドの基準価額も2022年を底にして出直ってきている。依然として高値を奪回するまでには戻っていないために、「運用力」等の評価は厳しいままにあると考えられる。

業態別の評価の特徴は?

「地方銀行」「第二地銀」「証券会社」で回答内容を比較すると、「地方銀行」では評価する運用会社が比較的固まっていることに対し、「第二地銀」と「証券会社」では評価する運用会社が広がっている。「地方銀行」が選ぶトップ10に入っていないような運用会社が「第二地銀」や「証券会社」では評価されている。

「地方銀行」が評価する運用会社トップ10は、総合的なランキングでトップ10を占める運用会社10社と同じだ。これは「販売会社一般編」において地方銀行が占める比率の高さなど、本結果には地方銀行の評価が大きく影響していることの証左の1つでもある。「地方銀行」が選ぶトップ10に入っていない運用会社でインベスコ・アセット・マネジメントは「証券会社」は第3位、キャピタル・インターナショナルは第4位という上位に評価している。「第二地銀」では「地方銀行」のトップ10には入らなかったインベスコ・アセット・マネジメント、三井住友DSアセットマネジメント、あおぞら投信をトップ10に入れている。

この「地方銀行」と「第二地銀」「証券会社」の評価の違いは、「地方銀行」の評価には、「サポート力」や「営業担当者・研修担当者の質」といった運用会社の総合力を評価する傾向があることに対し、「第二地銀」や「証券会社」では「運用力」など特定の強みがあれば、その強みを積極的に評価しているようだ。たとえば、インベスコ・アセット・マネジメントは「サポート力」の項目で「第二地銀」も「証券会社」もトップ10入りの評価をしていない。それでも「運用力」で「証券会社」はインベスコをトップに評価し、「第二地銀」も第3位と高く評価している。インベスコ・アセット・マネジメントには「インベスコ世界厳選株式オープン(ヘッジなし・毎月決算型)(愛称:世界のベスト)」という残高1兆8000億円を超える売れ筋のアクティブファンドがある。その安定的な運用成績が同社の評価を支えていると考えられる。

「本部」と「支店」の評価は?

「地方銀行」と「第二地銀」「証券会社」の間にあった評価のポイントの違いは、「本部」と「支店」の間での評価の違いに似通っている。たとえば、インベスコ・アセット・マネジメントの評価は「支店」では第7位だったが、「本部」ではトップ10以内に評価していない。また、アライアンス・バーンスタインも「支店」では第6位に評価しているが、「本部」ではトップ10以下の評価だ。いうまでもなく「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D毎月決算型」は約3兆5000億円もの残高がある巨大ファンドだ。「支店」という営業の最前線では、顧客に求められる商品を提供してくれる運用会社こそが高い評価の対象となるということだろう。

アライアンス・バーンスタインやインベスコ・アセット・マネジメントは「本部」が「サポート力」をトップ10以下にしか評価していない。それでも「支店」では、「営業担当者・研修担当者の質」の項目でアライアンス・バーンスタインとインベスコ・アセット・マネジメントを第6位に評価している。「本部」がトップ10以下にしか評価しなくても、販売の現場にいる自分たちが必要とする運用情報を届けてくれる存在として売れ筋ファンドを持っている運用会社の担当者は「支店」から高く評価される存在なのだろう。

 

【運用会社ランキングVol.1】はこちら
【運用会社ランキングVol.2】はこちら
【運用会社ランキングVol.4】はこちら
【運用会社ランキングVol.5】はこちら

 
続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #運用会社
前の記事
【運用会社ランキングVol.2】銀行・証券会社からの評価は? トップは日興アセットマネジメント、フィデリティ投信は運用力で高評価/販売会社一般編①
2025.02.25
次の記事
【運用会社ランキングVol.4】ゆうちょ銀行・郵便局からの評価は? トップは野村アセットマネジメント、セゾン投信が「運用力」で評価/ゆうちょ銀行・郵便局編
2025.03.04

この連載の記事一覧

運用会社ブランドインテグレーション評価2024結果発表

【運用会社ランキングVol.5】IFA法人からの評価は? トップはキャピタル・インターナショナル、運用力やサポート力で図抜けた評価/IFA法人編

2025.03.11

【運用会社ランキングVol.4】ゆうちょ銀行・郵便局からの評価は? トップは野村アセットマネジメント、セゾン投信が「運用力」で評価/ゆうちょ銀行・郵便局編

2025.03.04

【運用会社ランキングVol.3】地銀・第二地銀・証券会社、本部・支店それぞれで分かれる結果、支持を左右する要因は?/販売会社一般編②

2025.02.25

【運用会社ランキングVol.2】銀行・証券会社からの評価は? トップは日興アセットマネジメント、フィデリティ投信は運用力で高評価/販売会社一般編①

2025.02.25

【運用会社ランキングVol.1】運用力、サポート力、担当者の質……販売会社は運用会社を何を一番重視している? 2024年の評価を発表!

2025.02.25

おすすめの記事

【新NISA対象】ブラックロックから「iシェアーズ S&P500 トップ20 ETF」「iシェアーズ ゴールド ETF」が上場! 個人投資家にとっての魅力は…

Finasee編集部

ターゲットは“デジタル富裕層”―SMBCグループとSBIグループの新会社設立により「Olive」に新たな“プレミアムクラス”

Finasee編集部

常陽銀行にみる株式ファンドへの逡巡、「相互関税」と「中東緊張」で様子見の中を上値に進むファンドは?

finasee Pro 編集部

アクティブファンド復権!? 中国銀行で株式アクティブへの期待高まる。「ROBO」と「純金」の評価も向上

finasee Pro 編集部

福岡銀行で「225」人気が衰えた理由は? 「純金」、「USリート」と「世界半導体投資」が人気化

finasee Pro 編集部

「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」

森脇 ゆき

著者情報

finasee Pro 編集部
ふぃなしーぷろへんしゅうぶ
「Finasee」の姉妹メディア「Finasee PRO」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けたオンライン・コミュニティメディアです。金融行政をめぐる最新動向をはじめ、金融機関のプロフェッショナルにとって役立つ多様なコンテンツを日々配信。投資家の皆さんにも有益な記事を選りすぐり、「Finasee」にも配信中です。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
ターゲットは“デジタル富裕層”―SMBCグループとSBIグループの新会社設立により「Olive」に新たな“プレミアムクラス”
常陽銀行にみる株式ファンドへの逡巡、「相互関税」と「中東緊張」で様子見の中を上値に進むファンドは?
「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」
アクティブファンド復権!? 中国銀行で株式アクティブへの期待高まる。「ROBO」と「純金」の評価も向上
三菱UFJ銀行の売れ筋で「日経225」の評価に変化、新規にトップ10入りしたファンドの特徴は?
金融庁が「プログレスレポート2024」の公表を休止した深いワケ 「FDレポート」との違いが出せなくなった?
「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ
サステナ投資促進策は終わり?「仕分け」の対象になってしまうのか
福岡銀行で「225」人気が衰えた理由は? 「純金」、「USリート」と「世界半導体投資」が人気化
三井住友銀行の売れ筋で突出したファンドとは? 欧州株の上昇で「MSCIコクサイ」に勢い
「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」
三菱UFJ銀行の売れ筋で「日経225」の評価に変化、新規にトップ10入りしたファンドの特徴は?
アクティブファンド復権!? 中国銀行で株式アクティブへの期待高まる。「ROBO」と「純金」の評価も向上
年金を含む資産データ「一元化」は夢物語? 自民党「デジタルニッポン2025」の曖昧な書きぶり
みずほ銀行の売れ筋トップ10で「バランス型」3本がランクイン、市場のトレンドは変化するのか?
福岡銀行で「225」人気が衰えた理由は? 「純金」、「USリート」と「世界半導体投資」が人気化
サステナ投資促進策は終わり?「仕分け」の対象になってしまうのか
三井住友銀行の売れ筋で突出したファンドとは? 欧州株の上昇で「MSCIコクサイ」に勢い
【ブルームバーグ寄稿】日本のAI規制関連が急展開 金融セクターにとってはまたとない機会に
外貨関連を軸に多彩なサービスを展開顧客の信頼を勝ち取る「総資産アプローチ」case of SMBC信託銀行
「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
【文月つむぎ】投信だけでなく保険販売でもFDを徹底できるか?知っておきたい「保険業法」改正のポイント
【文月つむぎ】「プラチナNISA」という言葉がない!自民党金融調査会の最新提言を読み解く
「支店長! ゴールベースアプローチをすれば、お客さま本位の提案になるということでよいですか?」
浪川攻の一刀両断
手数料自由化とファンドラップから見る日本と米国の証券リテール改革の相違
いわき信組の不正を見抜けなかった金融庁、「根本的な人員不足」も背景
今月スタートした「投資運用関係業務受託業」を金融庁が激推し!金融機関に勤める中堅・若手の有望な移籍先に?
トランプ関税の混乱を横目に「戦略的自律」をめざす欧州企業に可能性、「テンバガー・ハンター・ヨーロッパ」の視点とは?
三菱UFJMS証券の売れ筋にみえる国内株式ファンドへの期待、物価高で苦しむ年金生活者を支えるファンドとは?
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら