――今後の世界経済について、どのようなメインシナリオとリスクシナリオが描けますか。
先進国のみならず、新興国でも高インフレと中央銀行の大幅な金融引き締めによる経済活動の減速感はありますが、何か懸念を強めるようなものではなく、米国もユーロ圏も経済は当初の想定より強い状態にあります。しかし、米国ではシリコンバレー銀行(SVB)破綻以降、信用収縮が起きていると見られ、今年後半以降に緩やかなリセッションに陥るというのがメインシナリオです。これは欧州も同様です。
インフレの鎮静化に躍起になる中銀の動向と経済指標の発表に一喜一憂する展開が続き、それに加えて、3月以降米国、欧州の金融機関が破綻や経営危機に陥るなど、2023年も市場には不透明感が拭えない。こうした世界経済の動向は、国内金融政策の舵取りをいっそう困難にしているだろう。日本にもインフレ圧力がかかり、金融緩和策の副作用にも懸念が高まっているが、海外で景気後退局面が迫る中で金融緩和を継続するか修正するのか、日銀新総裁がどう動くのかに世界からも関心が寄せられている。そこでこのシリーズでは、経済・為替、金利、アセットマネジメントそれぞれの分野で著名な専門家が考える、今後の見通しや注目ポイントを紹介していく。
第3回はRBC ブルーベイ・アセット・マネジメントで最高投資責任者(CIO)のマーク・ダウディング氏に話を聞いた(取材日:2023年4月25日)。
――今後の世界経済について、どのようなメインシナリオとリスクシナリオが描けますか。
先進国のみならず、新興国でも高インフレと中央銀行の大幅な金融引き締めによる経済活動の減速感はありますが、何か懸念を強めるようなものではなく、米国もユーロ圏も経済は当初の想定より強い状態にあります。しかし、米国ではシリコンバレー銀行(SVB)破綻以降、信用収縮が起きていると見られ、今年後半以降に緩やかなリセッションに陥るというのがメインシナリオです。これは欧州も同様です。