はじめに
これまでの2回の連載を通じて、中間層劣化の事実とその社会的コストを述べてきた。今回は、中間層を経済面から支える資産運用について考えたい。
中間層の劣化防止の経済政策としては、マクロ経済政策としての経済成長戦略が挙げられるが、個人の視点でみれば、それはコントロールできる人生の要素とは言えない。また、所得再分配制度の改善も国会での審議とその決議に長い時間を要するため、同様に個人にはコントロール不可と言える。
したがって、個人の単独の意思と行動で、誰にも平等に与えられた「時間」という資源を活用しながら行う個人の資産運用が社会で果たすセーフティーネットの役割を持つことに注目する必要がある。特に、中間層の劣化がもたらす弊害に最も長くさらされる若い世代こそ、資産運用を早く始めることの価値への理解を深めてもらいたい。
潜在ニーズがあるだけに、10年後には最大のアクティブ運用の世代になっているかもしれない。そんなポテンシャルとハードルのあることを以下記述することとしたい。