猫を増やさないために必要な対策

「それに、最初は1匹だった猫が5、6匹になったんですよね。これから繁殖すれば、もっと増える可能性があります」

「それは困りますね。でも、どうすれば……」

「不妊去勢手術が必要です。猫を捕獲して手術を受けさせ、元の場所へ戻すTNRという活動があるんですよ」

中田さんは、手術済みの猫には目印として耳先をV字にカットすることがあると説明した。

「手術まで必要なんですか」

「ええ。健康状態を確認して、動物病院や費用の調整もしなければなりませんが、これ以上猫を増やさないために大切なことなんです」

慶子は、チャチャたちがお腹を空かせないようにすることばかり考えていた。不妊去勢手術が済んでいるかどうかなど、気にしたこともなかった。

「私、いけないことをしてしまったんでしょうか?」

「猫を助けたいと思うのはいけないことではありませんよ。ただ、餌やりを続けるには近所の方の理解も必要です。みなさんの意見も聞いて、場所や時間、清掃の方法を一緒に考えませんか?」

慶子はためらった。小菅さんの険しい顔を思い出すと、また怒鳴られるのではないかと不安になる。

「私も同席しますから。1人で話しに行く必要はありませんよ」

慶子はしばらく考えてから、中田さんに向き直った。

「分かりました。一度、ちゃんとお話ししてみます」

そう言うと、中田さんは安心したように大きくうなずいた。