<前編のあらすじ>

夫に先立たれ、1人暮らしを続ける70代の慶子。ある日、散歩中に痩せた茶白の野良猫と出会い、自宅から鶏肉を持って戻って与える。

翌日から猫用フードを持って散歩するようになり、やがて集まる猫は5、6匹に増えた。慶子はそれぞれに名前をつけ、雨の日でも餌を届けるように。自分を待ってくれる猫たちの存在は、孤独だった慶子にとって新たな生きがいになっていた。

ところがある日、近隣住民から猫が庭で排泄したり荒らしたりしているとして餌やりをやめるよう求められ、慶子と口論に…。翌日は餌を持たずに出かけるものの、待っていた猫たちを見て放っておけなくなり、再びフードを取りに自宅へ戻った。

●前編【「知らなかったで済む話か?」野良猫を毎日世話する高齢女性…近隣住民に突然怒声を浴びせられた理由】

善意だけでは解決できない問題

小菅さんと口論になってから数日が経った。慶子は相変わらず空き地で猫たちに餌をあげていたが、以前より周囲の視線を気にするようになっていた。

そんなある日、チャチャたちの食事を見守っていると、1人の女性が近づいてきた。

「こんにちは。いつもこちらで猫のお世話をされているんですか?」

慶子はまた注意されるのだろうかと身構えた。

「ええ、そうですけど……」

「私は中田といいます。この辺りで野良猫の調査や保護活動をしているんです」

中田さんは以前から周辺の猫を調べており、慶子の姿も何度か見かけていたという。彼女の穏やかな口調に警戒を解いた慶子は、餌やりを終えてから近くの公園で話すことにした。

「いつごろからお世話されているんですか?」

「2カ月ほど前です。最初はあの茶白のチャチャだけだったんですよ」

慶子は痩せたチャチャとの出会いや、今では5、6匹に増えたことを話した。中田さんは猫たちの特徴を尋ねながら、丁寧に耳を傾けてくれた。すっかり安心した慶子は、ついに小菅さんとの口論についても打ち明けた。

「猫を助けているだけなのに、あんなに怒鳴られるなんて……」

「嫌な思いをされましたね。ただ、餌やりには気をつけなければいけないこともあるんです」

中田さんは、猫の食べ残しや糞尿が近所の迷惑になる場合が多いと説明した。

「だから、餌やりをするなら場所と時間を決めて、食べ残しは片付けないといけません。周辺の清掃も必要ですよ」

「容器は持ち帰っていますけど、そこまでは……」

慶子は、猫が住宅の庭へ入っていく姿や、地面にこぼれたフードをそのままにしたことを思い出した。小菅さんが訴えていた被害も気にかかる。