毎日の餌やりが新たな生きがいに

最近ではこうした餌やりが、すっかり毎日の日課になっている。朝食を済ませるとキャットフードのストックを確認し、足りなくなりそうなら午前中のうちに買い足しておく。スーパーでも、以前は素通りしていたペット用品売り場に必ず立ち寄るようになった。猫が増えたぶん餌代もかさむが、慶子の生活を圧迫するほどではない。むしろ、どのフードならよく食べてくれるかと考えながら選ぶのも楽しみだった。

 

その日、慶子は朝から家事に精を出していた。

布団を干し、床を拭き、庭の草取りまで済ませると、すっかり足腰が重くなった。しかしソファに腰を下ろして時計を見ると、もうすぐ餌やりの時間だった。このまま休んでいたい気もしたが、いつもの場所で待つ猫たちを思い浮かべると、じっとしていられない。慶子は少し休憩してから、フードを入れた袋を手に出かけた。

また別の日には、小雨の中を傘を差して餌やりに向かった。雨の日は猫たちの姿が少なく、チャチャとミケしか現れなかった。

「クロはどこにいるのかしら。ちゃんと雨宿りしているといいけど」

それからも餌やりは続いた。空き地に集まった猫たちは、食事を終えるとそれぞれ散っていく。

「チャチャ、また明日ね」

帰ろうとすると、チャチャが足元にすり寄ってきた。慶子はしゃがんで頭をなで、しばらくその場で過ごした。

夫を亡くしてから、誰にも必要とされていないように感じるときもあった。だが、今はこうして自分を待ってくれる猫たちがいる。この子たちのお腹を満たしてあげられるのなら、少しくらい手間がかかっても構わない。

慶子は立ち上がり、明日も忘れずに来ようと思いながら、家への道を歩き出した。