2026年10月前半の新規設定ファンドは、金利上昇という市場環境の急変を受け、投資家に収益源の質を再編することを促すようなラインアップになった。9月に日米欧の中央銀行はそろって政策金利を引き上げた。米10年債利回りは2007年以来の5%台に乗せ、欧州の長期金利も英国は10年債利回りが5.4%台、ドイツの10年債利回りも3.5%を超えた。長らくゼロ金利だった日本の新発10年国債利回りも1996年9月以来となる3%の大台に乗せた。先進国の債券利回りが歴史的な水準に近づく中で、株式市場は調整色を強め、特に金利敏感なグロース株は上値が重くなった。こうした環境下で、10月前半の新設ファンドは、日本株の「高配当」と、インフレ懸念に対応した「資源株」への回帰を提案している。

出所:資産運用業協会のデータより筆者作成
 

注目ファンド2本

★ニッセイ・S日本超大型高配当株式トップ10インデックスファンド

ニッセイアセットマネジメントが設定する「ニッセイ・S日本超大型高配当株式トップ10インデックスファンド(年4回決算型)<購入・換金手数料なし>」(愛称:ニチハイ10)は、日本の超大型株のうち、高配当利回りを基準に10銘柄を選定し、「Solactive Japan Super Large Cap High Dividend 10」指数に連動する投資成果を目指す。超大型株に限定することで、配当余力とキャッシュフローの安定性を確保し、年4回決算で定期的なインカムを提供する。2026年10月時点の指数構成銘柄は、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、日本たばこ産業、ソフトバンク、NTT、東京海上ホールディングス、KDDI、武田薬品工業、トヨタ自動車、任天堂となっている。

「ニッセイ・S」シリーズは、低コストインデックスファンドシリーズの<購入・換金手数料なし>インデックスファンドシリーズに新たに指数のライセンス利用料を抑えることなどによってさらなる低コストと魅力的な投資対象という付加価値を付けたインデックスファンドシリーズだ。これまで、「米国株式500インデックスファンド」、「米国連続増配株式インデックスファンド」、「日本半導体株式インデックスファンド」、「欧州株式500インデックスファンド」、「米国グロース株式メガ10インデックスファンド」と設定し、新たな選択肢として新規設定されたのが「ニチハイ10」だ。

金利上昇局面では、株式の割引率が上昇し、グロース株のバリュエーションが圧迫される。その中にあって「高配当株」は配当というインカム収益が評価調整を吸収するため、相対的に下落耐性が高い。特に、利益の変動幅が小さく増配余力の高い超大型株は、金利上昇局面でその強さが際立つことになる。長期金利の上昇が続く中で、安定収益志向の投資家には、高配当株ファンドの中でも超大型株に限定した当ファンドは、一段と安定感のあるファンドとして魅力的に感じられるのではないだろうか。

★SBIフランクリン・テンプルトン金鉱株式ファンド

SBIアセットマネジメントが設定する「SBIフランクリン・テンプルトン金鉱株式ファンド(愛称:ゴールド・フロンティア)」は、金(ゴールド)を生み出す企業の株式に投資し、金価格の上昇に加えて、鉱山の開発や生産の拡大、企業の利益成長や配当といった収益機会にも着目しながら、信託財産の中長期的な成長をめざすファンドだ。「フランクリン・ゴールド・アンド・プレシャス・メタルズ・ファンド」を主要投資対象としており、主要投資対象ファンドのセクター別構成比は、すでに金を生み出している企業が57.2%、これから金を生み出す探鉱・開発段階の企業が21.4%、銀・銅などその他の貴金属・鉱業が19.3%という比率で、これから生産をめざす中小型企業(株価の変動率は大きくなる傾向)にも一定比率で投資していることが特徴だ。

金利上昇はインフレ期待を押し上げる。インフレ期待が高まる局面では、金価格が上昇しやすい。実際、9~10月にかけて金価格は上昇基調を維持し、金鉱株の収益源である「金価格×生産効率」が改善している。株式市場が調整色を強める中で、資源価格という“別の収益源”を取り込める点は、ポートフォリオの分散効果として大きいと期待される。

金利上昇局面で求められる“収益源の再編”

2026年9月の市場環境は、金利上昇、株式の調整、インフレ期待の再燃という三つの構造的変化が同時進行した。この環境下で、投資家が求める収益源は、「高配当株」、「資源(グローバル)」、「バリュー」という三つの方向に収れんしつつある。「高配当株」は、金利上昇局面での防御力として機能する。「資源株」は、インフレ期待の再燃に対する収益源の分散として有効だ。そして、「バリュー株」は、金利上昇による評価調整が限定的で、企業収益の底堅さが支えとなる。

高金利環境下の資産運用では資産配分の中で、これら三つの収益源をどの比率で組み込むかが重要になる。金利上昇という環境変化を前提に、収益源の“質”をどう再編するか──その問いに対する答えのひとつは、10月前半の新設ファンドにも示されているようだ。

※新規設定の情報は一般社団法人資産運用業協会の公開データに基づいています(2026/10/7取得)