10月2日、機関投資家向けの運用専門誌『オルイン』が別冊版となる『エンダウメント』の創刊を記念し、Webセミナーの公開収録を行った(放送は10月16日、大学の運用担当者は無料で視聴可能) 。「ポートフォリオ構築に必要な視点」をテーマに、筑波大学副学長兼CIO野手弘一氏、国際基督教大学(ICU)総務・基金担当常務理事の新井亮一氏、トータルアセットデザイン代表取締役社長の寺本名保美氏によるディスカッションが行われた。

なぜ今、大学に資産運用が必要なのか

『オルイン』および『エンダウメント』誌の深尾亮編集長によれば、昨今、大学が直面する喫緊の課題に「少子化による学費収入減少」と「インフレによる資産の目減り」があるという。「今年7月には文部科学省と経済産業省が『大学の資産運用の促進・高度化に向けたガイドブック』※を公表しました。大学経営にとって資産運用はもはや欠かせないテーマとなっています」と創刊の背景を語り、大学向けの情報発信に対する今後の意気込みを示した。

※『大学の資産運用の促進・高度化に向けたガイドブック』:大学がインフレや少子化の中でも持続可能な経営を行うため、資産運用を本格化・高度化させるための実践的指針を示したマニュアル

キーワードは「長期投資の継続」

ディスカッションには公的年金の運用を担うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の取り組みを参考に運用の高度化を進める筑波大学の野手氏と、文科省のガイドブックでも高度な運用事例が取り上げられたICUの新井氏が登壇。大学や機関投資家のコンサルタントを務めるトータルアセットデザインの寺本氏が進行を務めた。

冒頭で野手氏、新井氏により両大学の運用体制・ポートフォリオ設計・ガバナンスの実例が共有された他、大学内部で人材を育成する重要性や、運用を辞めないために平時からガバナンスを整えておく必要性について議論が行われた。最後には一時的な相場に左右されず「長期投資を継続すること」こそが大学基金運用の本質であると結論づけられた。

明確な理念と体制のもとで進む資産運用の高度化は、これからの大学経営の成否を握る重要な鍵となりそうだ。

※参考:エンダウメント創刊記念Webセミナー 大学運用の高度化はどこへ向かうのか―ポートフォリオ構築に必要な視点を徹底討論