グラウンドで再会した佳織と征子

試合当日、健吾と佳織は準備を済ませて征子を迎えに駅まで向かった。駅から出てきた征子を見つけて、佳織は車を降りて歩いていった。

「お義母さん、お久しぶりです」

「あら、久しぶりね。わざわざお迎えありがとう」

「いえ、車はこっちです」

それから3人で試合の行われるグラウンドに向かった。保護者観戦用のテントが立てられていて、そこに用意していた折りたたみ椅子を広げて3人で並んで座った。

しばらくすると、グラウンドにユニフォーム姿の博樹が現れた。移動もあって少し疲れたような顔をしていた征子だが、博樹の姿を見た途端にすぐに目を輝かせた。

「あれが博樹?」

「そうです。背番号12ですね」

答えながら佳織は写真を撮った。

「写真で見るよりずっとかっこいいじゃない」

「はい、似合ってますよね。練習も1度も休まず頑張ってたんですよ」

「へえ、そうなの」

そんな話をしているうちにも試合が始まり、博樹に打席が回ってきた。

「頑張れ博樹!」

征子は博樹に向かって声援を送った。佳織は心臓をバクバクさせながら、「ちゃんと撮らないと」とスマホのレンズを打席に向けた。

1球目、2球目と空振りをして、あっという間に博樹は追い込まれた。

すると征子が佳織の手をぎゅっと握りしめてきた。佳織も征子に応えるように力強く手を握り、博樹に頑張れと念じた。

すると3球目、思い切り振った博樹のバットが白球を捉え、ボールは外野の前に転がっていった。

その瞬間、佳織たちは思わず立ち上がり、喜びの声を上げた。

1塁ベースに立った博樹はこちらに向けて笑顔で手を振ってきた。それを見て、佳織も征子も思いきり手を振り返した。

それからしばらく試合の行方を見守っていたが、やがて征子と手を繋ぎっぱなしだったことに気付いた。繋いでる手を見た瞬間、征子も気付いたらしく目が合った。思わず2人同時に吹き出してしまい、しばらく笑いが止まらなかった。

「本当に今日は来て良かった」

「はい。本当に家族の良い思い出になりました」

話しながら佳織は、この日の思い出を残すためにも4人で写真を撮りたいなと思った。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。