<前編のあらすじ>

小学1年生の息子・博樹が少年野球を始めてから、佳織の週末は準備や洗濯、当番などで大忙し。家族で出かける時間は減り、恒例だったゴールデンウィークの帰省も練習試合のため取りやめていた。

ある日、義母・征子からお中元が届き、佳織は毎年贈り合っていたお中元を今年はすっかり忘れていたことに気づく。慌てて謝罪するが、征子は落胆し、帰省をしなかったことまで、本当は嫌だったのではないかと疑われてしまう。

征子は今からのお中元も今後のお歳暮も断った。関係がぎくしゃくしたままになることに悩む佳織は、征子との関係を何とかするためのある案を思いつく。

●前編【「今までだって面倒だと思ってた?」お中元を忘れた嫁に義母が疑念…埋められない嫁姑の亀裂に】

失敗を引きずる佳織

その日の夜、夕食の片付けを終えて佳織はリビングに戻った。博樹はソファに座りテレビを見ていて、健吾はダイニングテーブルに座ってスマホで何か作業をしていた。

「ねえ、もう敬老の日でしょ。その日にお義母さんに何か贈り物をするのってどうかな?」

健吾はスマホから顔を上げて難しい顔をした。

「この前のことはもう気にしなくていいって母さんは言ってただろ?」

「うん。でも私の中ではまだ引っかかってるの。このまま何となく気まずいままなのも嫌だし……何かできないかなって」

健吾は腕組みをした。

「うーん、まあ分かるよ。でも埋め合わせ的にプレゼントを贈っても、かえって気を遣わせるだけだと思うよ」

「……それはそうなんだけどさ」

敬老の日に何か征子のために贈り物をしようと思ったが、健吾の言うとおりだと考えた。すると博樹が急にこちらに近づいて声をかけてきた。

「ねえ、プレゼントって何?」

「ああ。もうすぐ敬老の日だからね、おばあちゃんに何かしようかって」

「そうなんだ! じゃあ俺もやる!」

勢いよく答えた博樹を見て佳織はうなずいた。

「そうね。それじゃあおばあちゃんにお手紙を書きましょうか。感謝の気持ちとか書いて送ったら、おばあちゃん、喜ぶと思うよ」

佳織はとっさに思いついた案を口にした。それに健吾も賛同した。

「そうだな。それじゃあ今から手紙を書くか」

そう言って健吾は書斎から便せんを持ってきた。

「それじゃあ博樹、ここにおばあちゃんに伝えたいことを書いてね」

博樹はボールペンで、便せんに大きな字を書き始めた。内容は、感謝の気持ちと、一緒に遊びたい、野球を応援しに来てほしいというものだった。

「これでいい?」

「うん。きっとおばあちゃん、喜ぶと思うわ」

手紙の内容を見て、佳織は健吾に目を向けた。

「野球、応援してほしいって」

「……たまに野球してるところの写真とか動画を送ったりしてるけど、母さんすごく嬉しそうだったからな。生で応援したいって思ってるんじゃないか」

「ねえ、何とかできない? 実は今月末に練習試合があるんだけど、そこに博樹が出られるかもって監督さんが話してたのよ」

「……そうか。初めての試合だもんな。母さんも絶対に見たいはずだし」