「俺にも相続する権利はあるだろ?」

しばらくして、3兄弟の父が亡くなった。当然、常忠さんと之博さんは、以前の話し合いどおりに進むものと思っていた。

ところが、遥祐さんの態度は一変する。自分も相続の権利があると主張しはじめたのだ。

「なぁ? 常忠さ、やっぱり不公平だろ」

「聞いてくれ之博、お前らと同じように、俺にも相続する権利はあるだろ?」

突然そう主張し出した遥祐さんに、常忠さんと之博さんは言葉を失った。

とはいえ、遥祐さんが急に態度を変えたした理由に、常忠さんと之博さんはともに心当たりがあった。

遥祐さんの事業が経営悪化に直面していたのだ。

法人化に失敗したことで以前は裕福だった遥祐さんもお金に困ることが増えてしまったようだった。

だが、それはあくまで遥祐さんの事情だ。常忠さんと之博さんとしては、今さら相続の取り分を変えると言われて納得いくわけがない。

「相続の件は、俺たち3人で話し合ってもう約束したじゃないか!」と常忠さんが憤れば、「今更か?」と之博さんは苛立ちを見せる。

こうして3兄弟はそれぞれ自分の意見を主張し合い揉めることになった。

●トラブルはさらにエスカレート……。後編【「3人で話し合ったはずじゃないか!」長男・次男の感情が爆発…3男の「やっぱり遺産が欲しい」に家庭裁判所が下した「驚きの判断」】では、事前の遺産分割協議についてくわしく解説します。

 

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。