リレーに挑む清志
昼休憩を挟んで保護者参加のリレーが始まるということで、清志は立ち上がって軽いストレッチを始めた。格好だけは様になっている。
「パパも1位になってよ!」
「ああ、もちろんだよ」
悠真の言葉に力をもらったのか、清志は真剣な表情で答えた。
「ケガだけはしないでね」
陽子は正直な気持ちを清志に伝えた。清志は軽くうなずき、集合場所へと向かっていった。
集合がかかってから10分後にリレーはスタートした。赤、白、青、緑のチームに分けられ、清志は赤チームに入った。並び順を見る限り、清志は4番目、アンカーの2つ前を任されていた。
スタートのブザーが鳴り響き、父親たちは懸命に走り出した。それぞれの走者がバトンを渡していくのだが、そのたびに少しずつ赤チームが他と差をつけられていき、清志にバトンが回るときには最下位になっていた。
「パパ、頑張れー!」
隣の悠真は立ち上がり、声を張り上げた。
バトンを受け取った清志は一気に地面を蹴り、走り出した。
「え……」
カメラを構えていた陽子は清志の走りに思わず声が漏れた。清志は明らかに走れるようになっていたのだ。昨年よりも足の運びが軽やかになっているように、陽子の目には見えた。
ものすごく速くなったわけではないが、それでも前との差をぐんぐん詰めていった。
「すごい! パパ! いけぇぇぇ!」
悠真は飛び跳ねながら清志の頑張りに興奮していた。陽子もカメラを握る手に力が入った。
清志は必死な形相で腕を動かし、最終的には前の走者との距離を詰めたところでバトンを渡した。清志からバトンを渡された走者は勢いよく走り出した。
一方の清志はバトンを渡したあと、そのまま止まればよかったのだが、グランドの土に足を取られ、そのまま顔から地面にずっこけた。
「あっ!」
「パパ!」
2人そろって声を上げた。
陽子は一瞬ひやりとしたのだが、清志はすぐに上半身を起こし、恥ずかしそうにレーンの外に退場していった。
清志が痛そうに背中を丸めている姿が昨年とまったく同じだったことで、思わず陽子は笑いそうになった。
清志の頑張りもあってか、最終的には赤チームが優勝となり、保護者席に帰ってきた清志を悠真は抱きしめて迎えた。
「パパすごいね! 本当に1番になったじゃん!」
「い、いやまぁな。後のお父さんが速かったからだよ」
「ううん! パパ、すごくかっこよかったよ!」
