家族の空気を変えた息子の走り

それから3人で簡単に朝食を済ませると、荷物をかばんに詰めて幼稚園に向かった。

園に着くと、すでにたくさんの親子が集まっていて、受付が行われていた。悠真を先生に預けると、陽子と清志は保護者席に向かった。間もなく運動会が始まり、園児たちが競技に汗を流していた。悠真が競技に出るたびに、陽子と清志はスマホを構えて、我が子の雄姿をカメラに収めた。

そして午前最後の競技として30メートル走が始まった。保護者たち全員が我が子に向かって応援をしていた。悠真は5組目に登場してきた。清志はカメラを構えながら悠真に声援を送った。悠真は緊張した顔で、こちらに気づいていない。

するとスタートのブザーが鳴り悠真は一気に走り出した。

「頑張れ、悠真!」

陽子はカメラを忘れて悠真を応援した。結果、悠真は1番でゴールし、嬉しそうに笑顔を見せていた。そんな息子の姿に陽子は思わず胸が熱くなった。清志も同じように感じているのか、時折目元を手で拭いていた。

「悠真、すごいね。本当に1番取った」

「……ああ、本当だな」

ケンカをして気まずかったことなんて忘れたように、陽子と清志は微笑みあった。