財布もプライドも…妻の「スパルタ管理」の幕開け

まず私が実行したのは、健太の「経済的権利」の完全剥奪だった。

手始めに彼の給与口座のキャッシュカード、クレジットカードを回収した。スマホも格安SIMの最安プランに変更し、余計なアプリは削除。そして、毎月3万円あったお小遣いは最低限必要な月1万円にまで一気に減額した。

「これ、明日からのあなたのお弁当と水筒。会社への往復は定期券を使いなさい。月1万円は、急な出費や仕事で必要なもの以外、1円も無駄に使っちゃダメだからね」

毎朝、私は彼に手作りのお弁当と水筒を持たせた。愛情からではない。彼に買い食いの隙すら与えないための策だ。月1万円の支出の中身は、レシートと照らし合わせて徹底的にチェックした。

後輩との飲み会はすべて強制不参加。「妻が財布を握っていて月1万円しかお小遣いがない」と同僚に頭を下げさせた。かつて豪快に奢っていた男にとって、これ以上の屈辱はなかったはずだ。見栄で身を滅ぼした男には、それくらいの恥をかかせるのがちょうどいい。

さらに、休日の健太に休む時間は与えなかった。彼が見栄のために買い漁ったブランド物の時計やゴルフバッグを、すべて目の前でフリマアプリに出品させた。

「自分で出品して、自分で発送しなさい。自分がどれだけ愚かなことに金を使っていたか、その手で実感して」

発送作業に追われ、自分の宝物が二束三文で売れていく様子を、健太は虚しい目で見つめていた。しかし、その顔からは徐々に甘えが消えていた。