<前編のあらすじ>

兄・幸也さんと弟・総一郎さんは仲が非常に良かった。自立してからも同じ草野球チームに所属していたので、毎週のように顔を合わせて酒を飲み交わしていた。

父・健彦さんが亡くなった際、介護負担を考慮し、兄・幸也さんが7割を相続することでまとまった。

ただ、遺産分割協議書を作成せず、財産の移転手続きも終わっていなかった。

そんな中、弟・総一郎さんが急死してしまう。弟・総一郎さんの2人の子どもは、幸也さんに対して「7割の相続はおかしい」と主張するのだが……。

●前編:【「兄貴が7割相続してくれよ」そう語っていた弟が急死…兄の前に現れた「2人の甥」の「図々しい要求」の中身】

「俺が7割相続することに決まっているんだ」

幸也さんは困惑し、2人の甥っ子にこう説明した。

「落ち着いて聞いてほしいんだが、俺と、弟の総一郎の間では、介護負担を理由に、俺が7割相続することに決まっているんだ」

だが、雄太や健斗からすれば納得がいかない。

それも当然だ。読者諸兄も一度考えてみてほしい。彼らから見れば、特に証拠もなく、伯父が祖父の財産を多めに相続すると主張しているとしか思えない。

叔父の主張を全面的に信用するのは難しいと考えるほうが自然であり、相続は等分とするのが妥当だと、当然考えるわけだ。

「そんなこといって、ほんとは伯父さんが多めに相続したいだけじゃないですか? そもそも証拠もないし」雄太が言った。

健斗も「伯父さんは何度も転職していて、給料も下がっているらしいですよね。ぶっちゃけ怪しいですよ」と追い打ちをかけるように言う。

確かに幸也さんは両親の介護のため転職を繰り返しており、収入が下がっていた。幸い、幸也さんの奥さんがフルタイムで働き、家計はギリギリ持ちこたえていたが、一時は幸也さん自身ヒヤヒヤしていたという。