相続でトラブルが生じるのは、誰がどれだけ相続するかで意見が割れるケースが圧倒的に多い。
ただ、中には、遺産相続を放置したことで話がこじれることもある。
今回は、父親の遺産について、兄弟間では話がついていたのに、その後の手続きを先延ばしにしたせいでトラブルになった事例を紹介しよう。
「兄貴が7割相続してくれよ」
兄・幸也さんと弟・総一郎さんは仲が非常に良い兄弟。同じ草野球チームに所属していたので、毎週のように顔を合わせて酒を飲み交わしていた。
それゆえ、父・健彦さんが亡くなった時も、特別話し合ったわけでもないのに、相続についてはスムーズに話がまとまった。
「親父もお袋も、兄貴が介護していたしな……、親父の財産は兄貴が7割相続してくれよ」
弟の総一郎さんが言うと、「分かった、そうさせてもらう」と兄の幸也さんも同意した。
法定相続分に従えば5割ずつであるところ、兄・幸也さんが介護を理由に多めに相続するという内容だ。一見揉めそうな相続割合ではあるが、兄弟は諸般の事情を鑑み、冷静かつスムーズに決定したのだった。
だが、問題は、その後に起こった。
