小遣い問題に向き合う親子
ゴールデンウィークの午後、義美の家の居間には、菓子の皿と湯飲みが並んでいた。年末以来の帰省だったが、義美はまるで数年ぶりの再会かのように航大と怜美を迎えた。
「航大くん、背が伸びたんじゃない? 怜美ちゃんも、少し大人っぽくなったわね」
義美は2人の前に菓子を置き、学校のことや部活のことを次々に聞いた。表面上はいつもの帰省と変わらない。夫も隣で義美の話に相づちを打ち、年末のことなどすっかり忘れたような顔をしている。律子だけがその様子を見ながら、義美を警戒していた。
「ごちそうさまでした……よいしょ」
夕食後、義美が立ち上がりかけたのを見て、律子は声をかけた。
「お義母さん、片付け私がやりますよ」
「そう? じゃあ、律子さん、悪いけど、お皿お願いね。私、お茶淹れるから」
「はい」
律子は台所へ向かった。流しに皿を運び、人数分の皿を洗う。そして手を拭いて居間へ戻ろうとしたとき、廊下から義美の声がかすかに聞こえた。
「これはおばあちゃんから。お母さんには内緒よ」
ぴたりと足が止まった。やはり、と思ったが、すぐに踏み込むことはできなかった。ここで目くじらを立てて怒れば、義美はまた大げさだと笑うだろう。子どもたちはどうするだろうか。
