妹の必死の説得で受診にこぎつける
筆者との面談後、順子さんは秀一さんに事情を説明することにしました。
「障害基礎年金の請求をするためには、まず病院を受診するところから始める」
そのように伝えると、秀一さんは面倒くさそうな声をあげました。
「病院を受診するなんて……何もそこまでやらなくていいんじゃないの?」
今までの順子さんなら「じゃあ、もう知らない!」と突き放していたかもしれません。ですがここで見放してしまったら、両親と同じ轍を踏んでしまいます。
「そんなことはしたくない。私が頑張らなきゃ何も変わらない」
そう思った順子さんは覚悟を決め、何度も秀一さんを説得しました。その結果、秀一さんはしぶしぶ精神科を受診することになりました。
とはいえ、乗り気ではない秀一さんや高齢の母親が病院を探しだすことは容易ではありません。結局、順子さんが病院を探し出し、その病院に事情を説明し、初診の予約を取るところまでこぎつけました。
さらに順子さんは初回の受診に同行。秀一さんの代わりに問診票を記入し、受診の際には医師に経緯を伝えるといった徹底ぶりをみせました。
受診の際、順子さんが医師に一生懸命説明をしているのに、秀一さんはまるで他人事のように上の空。ぼーっとして、ただ時間が過ぎるのを待っていました。
その姿を見た順子さんは「何で私がここまでしなければならないの?」と腹立たしく思いましたが、その気持ちをぐっとこらえました。
医師と相談し、秀一さんは後日、発達障害の検査を受けることになりました。
