大里秀一さん(仮名、51歳)は高校卒業後、ひきこもりのような生活を続けてきました。秀一さんには妹の順子さん(仮名、49歳)がいます。順子さんは結婚して家庭があり、秀一さん家族とは別居しています。

順子さんはフルタイムで仕事をしている傍ら、子育てに家事に大忙し。以前から兄を気にかけてはいましたが、行動を起こすことはなく、ただただ時間だけが過ぎていきました。

そのような中、父親が死亡。秀一さんは80代の母親と二人暮らしになりました。秀一さんは無職無収入なので、収入は母親の公的年金だけが頼りです。その生活は決して楽なものではありません。それなのに秀一さんは焦りを見せることはなく、仕事をする気配もまったくありませんでした。

「さすがに何かおかしい……」

そう思った順子さんは色々と調べたところ「ひょっとしたら兄には発達障害があるのではないか。障害年金がもらえるのではないか」と考えるようになりました。

とはいえ、障害年金に関しては分からないことだらけです。そこで順子さんは母親を連れ、社会保険労務士である筆者に相談することにしました。

授業中は居眠りばかり…アルバイトでも不採用が続く

筆者は、まず秀一さんの状況を伺うことにしました。

秀一さんは幼少期からあまりしゃべることがなく、とても静かな子だったそうです。みんなと遊ぶよりも一人遊びを好んでいたとのこと。コミュニケーションがうまくとれず、学校ではクラスメイトにからかわれることもあったそうです。

興味関心のない物事は頭の中に入っていかないようで、勉強もかなり苦手でした。それでも何とか高校は卒業できたものの、大学受験に失敗してしまいました。

浪人生となり予備校に通うことになった秀一さん。しかし勉強にまったく身が入らず、授業中は居眠りばかりで成績は一向に伸びませんでした。

これに腹を立てた父親は「もう勉強はしなくていい! 就職もできないならせめてアルバイトでもしろ!」と秀一さんを叱り飛ばしました。

仕方なく秀一さんはアルバイトの面接を受けることにしました。

しかし面接で質問をされてもしっかりとした受け答えができません。そのようなこともあり、アルバイトはことごとく不採用になってしまいました。