すべてが消えた画面

アカウントが停止された朝、早和子は何度も同じ画面を見直した。

「規約違反により機能を制限しました」という短い表示は、何度読み返しても変わらない。

昨夜まで並んでいた動画は消え、通知欄の勢いもきれいに途切れていた。

「……うそでしょ」

声に出しても、返事は返ってこない。出勤の支度をしながらも、早和子は何度もスマホを見た。しばらくすれば元に戻るかもしれない。そんな都合のいい期待は、昼になっても、夜になっても裏切られたままだった。

「どうしよう……」

 

その後も早和子は表向きにはこれまでと同じように会社へ通った。

請求書を確認し、電話を取り、定時になれば帰る。しかし、停止されたアカウントのことが頭から離れなかった。

帰宅すると食事もそこそこにスマホを開く。以前のように投稿を見るためではなく、生成AIやディープフェイクの訴訟問題を調べるためだった。

「本人が言っていないことを言わせる」

「実在人物の信用を傷つける」

「拡散した側にも責任が及ぶ場合がある」

そんな文言を目にするたび、背中がひやりと冷える。

軽いネタのつもりだった。みんな面白がっていた。自分だけが悪いわけじゃない。最初はそう考えようとした。

ところが、調べれば調べるほど、自分がやったことの悪質さはごまかせなくなっていった。動画を作っていたとき、自分は数字ばかり見ていた。何が問題で、どこから一線を越えるのかを、知ろうともしなかったのだ。