花王は「理解ない」と反論 オアシスの提言とは

苦戦が続く花王ですが、オアシスは投資妙味を感じているようです。オアシスは花王が「キュレル」や「ビオレ」といった魅力的なブランドを多数所有していることに着目し、「潜在価値の宝庫」と評しています。

オアシスが公表する資料によると、オアシスと花王の対話は2021年6月から始まり、2023年9月以降はより強化してきました。しかし経営陣と意見が一致することはなく、公開キャンペーンに打って出たようです(出所:オアシス 「より強い花王」プレゼンテーション資料

オアシスは現在の経営陣では花王のポテンシャルを十分に引き出せないと断じ、以下5項目を実行するよう迫っています。

 ①   主要な化粧品およびスキンケアブランドの国際的な成長に重点を置く
 ②  グローバルな経験を有する最高マーケティング責任者(CMO)または同等の人材を直ちに起用し、マーケティングに対する同社のアプローチの変革を行う
 ③  ブランディングおよびマーケティングの経験を有する社外取締役を任命する
 ④  低採算のブランドおよびSKUを削減する
 ⑤  情報開示の透明性を向上させる

※Stock keeping Unit:在庫管理の最小単位

出所:オアシス 「より強い花王」に関するオアシスの声明

オアシスの提言の翌日、花王は課題解決の視点を歓迎するとしつつ、以下のリリースで反論しました。

……(略)……オアシス・マネジメントの主張では、2023年度決算で示した積極的なポートフォリオ管理と構造改革について、残念ながら十分な理解がなされていません。花王は、中期経営計画「K27」において、主力ブランドへの投資によるグローバルな成長を追求しています……(略)……

引用:花王 当社株主による主張について

「K27」とは花王が推進中の中期経営計画(2023年度~2027年度)です。初期段階は構造改革を行い、その後に成長領域の拡大と新規事業で成長を目指しています。

【花王の中期経営計画「K27」の主な財務目標】

     2023年度        2027年度    
(目標)
 営業利益 1147億円※1 過去最高の更新※2
 海外売上高 6558億円 8000億円以上
 ROIC(投下資本利益率) 4.1% 11%以上
 EVA(経済的付加価値) 149億円 700億円以上

※1.構造改革費を除いたコア営業利益(営業利益は600億円)
※2.過去最高は2019年度(2117億円)

出所:花王 経営戦略と中期経営計画「K27」

花王は自社の計画を進める方針を改めて示した一方、オアシスは花王の計画を不十分と指摘しています。現時点では両者が歩み寄る可能性は低そうです。

しかし将来的には何らかの合意に発展するかもしれません。

オアシスは2024年4月8日、花王株式の3%以上を保有していると明かし、2025年の株主総会で株主提案に踏み切る可能性にも言及しています(出所:日本経済新聞 2024年4月8日。オアシスが投資家の支持を集めるようなら、花王にとって無視できない存在となります。

花王がオアシスとの対話に前向きになれば、再び花王の株価が上昇するかもしれません。