青い瞳の救世主
「Please calm down」
するといきなり横から白人の青年が入ってきて、女性店員と英語でやり取りをしている。青年は青い目を美穂に向ける。
「アナタ、ドロボーデスか? 違いますよネ?」
いきなり日本語で話しかけられて、美穂は面食らう。しかしすぐに、日本語で説明をする。
「すいません、あの、財布をすられちゃったみたいで……!」
それを聞き、青年はすぐに女性店員に伝えた。女性店員は事情が分かったようで、すぐに携帯を置いてくれた。
すると、女性店員は何か言葉を発して、カップを袋に入れだした。
「アナタへのGift、デスヨ」
美穂は余りのことに驚く。
「さ、サンキュー」
美穂がそう言うと、女性店員はニッコリと袋を手渡してくれた。こうして美穂は無事に店を出ることができた。
「あ、あのありがとうございました!」
「No, No problem デス」
「本当に助かりました」
「それより、はやくPolice 行ったほうがいいデス」
青年は笑顔でお金を渡してくれた。
「いや、さすがにそれは……!」
「No No 困ったときはオタガイサマといいマスネ!」
青年の言い方に違和感を覚えたが、その場は甘えることにした。
「あの、本当にありがとうございます!」
そこで美穂はすぐにお礼ができるように連絡先を交換する。青年はジョージ・エドワーズと言った。
美穂はすぐに電話でカード会社に連絡し、利用を止める。そのときにイギリスの警察はオンラインで被害届を出せることを教えてくれた。英語に自信のなかった美穂にとってはそのほうがありがたかった。
さらにカード会社から緊急で融資を受けられるということを知り、すぐにお願いをする。これでしばらくはお金に困ることはなかった。
他にも免許証や銀行のキャッシュカードなどの再発行のやり方を確認し、こうして不幸中でも最悪の事態をなんとか回避することができた。