「アクティビスト×公募」の異色ファンド

2020年6月、公募投信ながらアクティビスト型の運用を行う「マネックス・アクティビスト・ファンド」(愛称:日本の未来)という画期的なファンドが誕生しました。純資産総額は設定から順調に上昇し、特に2022年は急増する場面も見られます。

【マネックス・アクティビスト・ファンド】
 

出所:投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」より著者作成

なぜマネックス・アクティビスト・ファンドに資金が集まるのか、理由を探りましょう。

個人のアクティビスト運用に対するニーズを取り込む

マネックス・アクティビスト・ファンドの純資産総額が順調に上昇したのは、同銘柄が個人投資家にとってアクティビストにアクセスできる数少ないファンドだからだと考えられます。

アクティビストとは一般に、増配や親子上場の廃止など、株価が上昇するような施策の実施を促す投資家を指します。このような提案を経営陣が受け入れて実施し、市場もそれを評価すれば、株価の上昇に期待できます。つまりアクティビストは、単に市場で値上がりを待つのではなく、株価が上昇するよう積極的に働きかける手法といえるでしょう。

アクティビスト型の運用は主に機関投資家向けのファンドで取られる戦略で、個人も購入できる公募投信では一般的とはいえません。その点で、マネックス・アクティビスト・ファンドは貴重です。アクティビスト型の運用を希望する個人は、同銘柄の他に選択肢が少なく、資金の受け皿になったと考えられます。

対面販売の開始で資金が流入

マネックス・アクティビスト・ファンドの純資産総額は、対面販売が始まるとさらに上昇ペースを強めました。2021年5月に新生銀行(現SBI新生銀行)が初めて対面チャネルで販売を開始し、2022年2月にはSMBC日興証券が販売を開始します。特にSMBC日興証券の影響は大きいとみられ、純資産総額は2022年1月末から2か月で約1.7倍になりました。

【月末時点の純資産総額】

出所:投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」より著者作成