finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

曲がり角のIFAビジネス(1)多様化する収益源、信報低下圧力の中で持続可能なビジネスモデルとは?

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2026.01.26
会員限定
曲がり角のIFAビジネス(1)多様化する収益源、信報低下圧力の中で持続可能なビジネスモデルとは?

「IFAって最近どう?」――金融商品仲介業のビジネスモデルは一枚岩ではなく、組織の在り方も商品戦略もさまざまであり、こうした問いにうまく答えるのは難しそうです。株式会社想研が取りまとめた「IFAエグゼクティブ・サーベイ2025」はその意味で、業界全体の動向やビジネス環境の風向きをつかむヒントをくれるかもしれません。政府が「顧客本位の業務運営」徹底の働きかけを強める中、持続的なビジネスモデルをいかに構築していくのか、付加価値向上に妙手はあるか、プラットフォーマーとの付き合い方に“正解”はあるのか。曲がり角に立つ業界の行方を、サーベイを読みながら考えてみます。

監査強化の影響じわり

株式会社想研が全国のIFA法人のビジネス状況を調査し、取りまとめた「IFAエグゼクティブ・サーベイ2025」。調査の概要を見ると残高や口座数、アドバイザー数において比較的小規模な法人からもまとまった数の回答を回収しており、業界全体の現状を偏りなく見渡すことができる一次資料として評価できるでしょう。

証券界や保険界からの意欲的な参入の流れが継続しており、金融商品仲介業の登録社数そのものは年々、増加傾向にあります。しかしサーベイの結果を見ると、全ての面でバラ色とは言えない現状も見えてきます。

24年3月末からの1年間で各種指標がプラスになった割合は、預かり資産残高が42%、顧客口座数が40.5%、営業収益は46.4%に。一方、残高や口座数がマイナスとなっているIFA法人はいずれも半数超を占め、残高増減率が-30%〜-10%は27.5%、-30%を下回るとの回答も14.4%となっています。

投資信託の信託報酬の低下傾向による業績への影響については、「影響はない」が44.9%、「影響はややある」「影響は大いにある」を合わせると約41%になり、両者はほぼ拮抗していると言えます。IFAビジネスに吹きつける逆風の正体は、インデックス型投資信託の普及による信報の低下圧力だけではなさそうです。

 

24年春から1年間という調査期間は、ちょうど、業界を取り巻く状況が大きく変わるタイミングでした。

日本証券業協会は24年度の監査計画で、証券会社側における仲介業務にかかる管理状況の検証について、「業務委託契約を締結する金融商品仲介業者等に対する指導・監督など適切な委託先管理を実施しているか点検する」と表明。日証協の特別会員にあたる仲介業者側についても「必要な態勢整備や委託元金融商品取引業者との連携が適切におこなわれているか等について点検する」と明記しました。それまでIFAは基本的に管轄外といったスタンスを取っていた自主規制機関が実効的な対応に一歩踏み出したことで、プラットフォーマー側を含めて業界に緊張感が走ったのです。

 

日証協による対応の背景には、少なくないIFA法人にとって重要な収入源となっていた仕組債に対する風当たりの強まりがありました。

当局は仕組債を一律的・直接的に規制強化こそしませんでしたが、「顧客本位の業務運営の原則」の一部ルール移行や、商品比較書面である「重要情報シート」を通じた情報提供の促進、有力地銀とその系列証券会社に対する仕組債販売に絡む不適切営業に関する行政処分を発出するなど、仕組債の手数料収入に支えられたビジネスモデルの見直しを間接的に迫っていきます。

サーベイから読み取れる事業者の戦略見直しの動きは、単なる信託報酬の低下対策ではなく、こうした規制環境の変化を念頭に、新ルールの趣旨に即した持続可能なビジネスモデルを模索するプロセスとして解釈できそうです。

 

金融庁幹部「IFAにも新ルール」の意義を強調

現時点のIFA業界に対する当局のスタンスを窺い知ることができるのは、2025年11月に日本金融商品仲介業協会(FA協会)が開いたカンファレンスで登壇した齊藤将彦・市場課長が登壇し、IFA法人の経営者らに向けて語った言葉です。

齊藤氏は「仕組債の販売は減少している」と指摘し、「一方、一時払い保険、外貨建て債券の販売が活性化している状況だ。必ずしもこれらが悪いと言いたいのではないが、顧客本位の観点からの販売となっているのかは注意が必要だ」と念を押しました。

また、24年11月に施行した改正金融サービス提供法で創設された新ルール「最善利益勘案義務」が、IFAを含め業界断的に規定された意義にも言及。「社会的付加価値を金融事業者の方々がもたらし、同時に自身の経営の持続可能性を確保していくため、必ずしも短期的・形式的な意味での利益に限らない顧客の最善の利益を考え、これを実現するために自らの規模・特性などに鑑み、組織運営や商品サービス提供も含め誠実かつ公正に業務を遂行しているかといった視点から我々はモニタリングをしていきたい」と述べています。

 

「残高増でフィー拡大」の正論と現実

経営環境に逆風が吹く中でIFA法人が打ち出す対応策については、サーベイの回答を4分類に大別できます。

第1に、新規顧客開拓や既存顧客からの追加入金といった「量での解決」によって信託報酬の下落分をボリュームで補う動き。第2に、FP業務や自社ラップサービスの採用、あるいは預かり資産連動型の手数料体系(管理口座)への移行といった、既存枠組みの販売手数料に依存しない「構造での解決」を志向する動き。第3に、商品・サービスの差異化やアドバイザーの専門性確保によって付加価値向上を図る「質での解決」、最後に、顧客本位等の観点からあえて収益維持に固執せず、環境変化をありのまま受容する現状維持のスタンスが挙げられます。

サーベイでは、登録年が古くIFAとしての活動歴が長いほど、預かり資産残高もフィー収益比率も大きい傾向が見て取れます……が、そもそもアンケート調査は事業を継続している法人が回答しているので、業界全体の新陳代謝を考える上では生存バイアスを加味する必要もあるでしょう。

「量の解決」がフィー比率の向上と収益の安定につながるといった正論を前提として顧客・残高の拡大を志向しつつも、構造の見直し、質の向上に同時に注力するのが現実策と言えそうです。

 

投信の付加価値を通じた質の向上に関しては、低コストのインデックスファンドが幅広い層の支持を集める中、アクティブ運用の付加価値にフォーカスした商品設計や情報提供、そして運用会社からのサポートの重要性を指摘する声が目立ちます。次の記事では、付加価値訴求の一手段として関心を集めつつあるオルタナティブ投資の現状と課題について、政策的な後押しなど環境変化を踏まえつつ、引き続きサーベイから読み解いていきます。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #IFA

おすすめの記事

IFA法人のパイオニア、GAIAが上場 中桐啓貴社長に聞く 
フィービジネスを日本で定着させるために

finasee Pro 編集部

ナスダック連動ETF「インベスコQQQ」が上場、巨大運用会社が国内市場で狙う「次の一手」とは?

finasee Pro 編集部

三菱UFJ銀行の売れ筋で「日経225」人気が高まる、「日経半導体株インデックス」は年初から2倍に

finasee Pro 編集部

米国経済 Deep Insight 第17回
AIブームを支えるデータセンター建設、その拡大は続くのか

窪谷 浩

金利ある世界で、金融機関は何を支えるのか――資産運用立国の提言と国会質疑から見える「全体設計」への転換

文月つむぎ

三井住友銀行で「日経225」や「S&P500」の人気に勢い、「世界のベスト」もトップに返り咲く

finasee Pro 編集部

著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
米国経済 Deep Insight 第17回
AIブームを支えるデータセンター建設、その拡大は続くのか
ナスダック連動ETF「インベスコQQQ」が上場、巨大運用会社が国内市場で狙う「次の一手」とは?
三井住友銀行で「日経225」や「S&P500」の人気に勢い、「世界のベスト」もトップに返り咲く
三菱UFJ銀行の売れ筋で「日経225」人気が高まる、「日経半導体株インデックス」は年初から2倍に
金利ある世界で、金融機関は何を支えるのか――資産運用立国の提言と国会質疑から見える「全体設計」への転換
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
野村證券の人気ファンドは「半導体」「IoT」「宇宙開発」など社会変革を担うテクノロジーに集中
5カ月ぶりに純資産残高が過去最高を更新したものの資金流入は低調、パフォーマンスは「国内半導体株」がトップ=25年6月投信概況
インデックスファンド2強は「S&P500」と「日経225」、三菱UFJMS証券の売れ筋にみる魅力的なアクティブとは?
「支店長! 売れ筋の投資信託を3つ覚えて売れるようになりました。全ての商品を覚える必要はありますか?」
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
資金流入額が回復、「国策に売りなし」で国内AI、半導体、防衛などのファンドが人気=26年5月投信概況
野村證券の人気ファンドは「半導体」「IoT」「宇宙開発」など社会変革を担うテクノロジーに集中
三井住友銀行で「日経225」や「S&P500」の人気に勢い、「世界のベスト」もトップに返り咲く
パフォーマンスは「eMAXIS Neo」や「半導体」など先端技術関連に集中=2026年5月ファンド収益率上位
日本の金融競争力を左右する「プライベート市場のデータ基盤高度化」―課題と現在地
金利ある世界で、金融機関は何を支えるのか――資産運用立国の提言と国会質疑から見える「全体設計」への転換
信託ならではの専門性をオンラインで実現 独自のハイブリッド型チャネル戦略を推進 case of 三井住友信託銀行
顧客の「将来」と「今」に価値を提供し、地域に好循環を生み出すのがFFGの使命 case of 福岡銀行/ふくおかフィナンシャルグループ
インデックス投資から始めた顧客を「思考する投資家」へ導くために ――対面営業を主体とする投信販売会社・本部投信担当者に求められる視点――
NISAの次に問われる本丸--企業型DC・iDeCo、個人向け国債、そして資産形成助言の再設計
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」第19回:デジタル化の否応なしの進展が中核市の人口流出を加速させる?
「支店長! 研修は受けたのですが、投信をセールスできる気がしません。慣れるしかないのでしょうか?」
顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる
インデックス投資から始めた顧客を「思考する投資家」へ導くために ――対面営業を主体とする投信販売会社・本部投信担当者に求められる視点――
三井住友銀行で新ファンド「フューチャーガイド」がトップ、「世界のベスト」も根強い人気
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
信託ならではの専門性をオンラインで実現 独自のハイブリッド型チャネル戦略を推進 case of 三井住友信託銀行
SBI証券の売れ筋で「WCM」がランクイン、「FANG+」を押しのけて高い順位に進んだ理由は?
ファンドアナリスト篠田 尚子が2026年第1四半期を振り返る~投資信託の今と、これから
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら