「よこすかポートマーケット」再生、横浜銀がテナント誘致支援
地銀協代表行・横浜銀行の幹部は会合で、地銀の役割について「地域のお客様へのサービス提供を通じ、地域経済の持続的な成長を後押しするとともに、地方自治体などと連携して地方創生の取り組みを進めていくことが求められています」と説明。横浜銀では、「地域や社会の課題解決に主体的に取り組み、地域の魅力の創出や地域経済の活性化に貢献することで、自社も成長するといった持続的な好循環の実現を目指す取り組みを進めています」と述べ、具体的な事例として、よこすかポートマーケットのリニューアルオープンの実現に向けた支援を挙げました。
同行は地域創生を推進する体制として、各地域のビジョンや計画策定を担う「地域戦略統括部」を本部に配置した上で、営業エリアを3地区・4地域に編成する地域本部体制を敷いています。南部地域に属する横須賀市と同行とは中小企業支援に関する協定を締結しています。
同行などによると、ポートマーケットは2013年に横須賀市の地産地消推進事業の一環として、横浜新港ふ頭近くの水産物向け倉庫をリノベーションして開業。しかしその後、業績低迷を理由に、2019年にいったん閉店しました。
その後、横浜銀行グループ傘下の浜銀総合研究所は、観光集客施設として再生するポテンシャルがあるエリアと評価。横浜銀行がテナント誘致の支援に取り組むなどグループを挙げて支援に注力し、2022年10月のリニューアルオープンにこぎつけました。
建物の中央を遮っていた壁面に複数の開口部を設け、実質的な施設面積が2倍に拡張されました。現在は、三浦半島の食を楽しむ「三浦半島フードエクスペリエンス」をコンセプトに、地元の生鮮食品を扱うレストランや土産物店などが出店しています。
「そごう呉店」跡地、閉店10年余経てひろぎんHDなどが再開発
今回の会合で地銀協側は、地方都市の商業施設、観光施設、インフラなどの老朽化が進む中で、再開発に向けた地銀の取り組みについて説明。エリアマネジメントを行う子会社を通じて地域開発の企画構想段階から支援しているひろぎんHDの事例を取り上げました。
「ひろぎんエリアデザイン」は、地域の発展・活性化に関するコンサルティング業務、中堅・中小企業の経営コンサルティング業務などを手掛ける、ひろぎんHDの子会社です。同社が地域開発の企画構想段階から関与すると同時に、広島銀行のストラクチャードファイナンス室などと連携し、グループ全体で再開発案件の支援に注力していると言います。
その代表的な事例の一つが、呉駅周辺の開発事業です。ひろぎんエリアデザインが参画するコンソーシアムが、2013年に閉店した「そごう呉店」跡地を整備。ひろぎんエリアデザインが事業スキームの構築、事業収支計画の策定等をサポートしています。
こうした事例を紹介した上で地銀協は「全ての分野において現状でも地方銀行として取り組みを進めていますが、更なる取り組みに向けては課題も多くあるため、地域金融力の更なる普及に向け、規制緩和等を検討していただきたい」と要望。具体的には、事業承継や再開発に伴う不動産仲介業務を手掛けるための規制緩和、投資専門子会社による株式会社以外への資金供給解禁、国と民間とのリスクシェア拡大などを求めました。
また、地域金融力を発揮する金融機関自身の経営基盤を安定化させるため、地銀再編を加速させるために導入された資金交付制度の期限延長と交付上限額引き上げ、システム共同化に必要な費用の補助、業務報告書の簡略化を含む監督・モニタリング対応の負担軽減などをあわせて要望しました。ある有識者委員は「エクイティ投資を含む複合的な支援と、(M&A成立後の経営プロセスである)PMIまで含めた『面倒見の良さ』こそが、地域金融としてあるべき使命なのではないか」と述べ、地域金融機関の底力発揮に期待を寄せました。