finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

ラッセル・金武伸治氏が解説する運用課題の解決のヒント
【オルタナティブ投資活用編】

Finasee編集部
Finasee編集部
2023.11.16
会員限定
ラッセル・金武伸治氏が解説する運用課題の解決のヒント<br />【オルタナティブ投資活用編】<br />

昨年来の市場環境の激変によって、機関投資家の運用にはさまざまな課題が浮上している。本セミナーでは事前に実施したアンケート調査を基に、ヘッジコストの対応と今後のオルタナティブ投資の活用法について、運用コンサルタントの立場から金武伸治氏に解説いただく。 ※本記事は10月6日開催の「オルイン 機関投資家フォーラムin大阪」でのセッション「悩みの種は多種多様。アセットオーナーが直面する課題の整理と、解決へのヒント~ヘッジコスト対応のケース~」の内容をもとに採録しました。

多様な投資目的があるプライベートアセットの注目点は

オルタナティブ投資に関しては、プライベートエクイティ(PE)、不動産やインフラストラクチャーといった実物資産、プライベートデット(PD)、ヘッジファンド(HF)のカテゴリーに分けて注目ポイントを解説していきたいと思います。

まずはPEについてです。現在、上場株式市場は利上げの影響を受けて、不安定な動きが続いています。今後の景気がソフトランディングで落ち着くのか、ハードランディングになってしまうのか、予測は非常に困難です。短期的なノイズが大きい状況下で、企業への投資においても投資時間軸の分散を考慮する価値があるでしょう。

上場株式は確かに長期投資に適していますが、日々の価格変動があるため、短期的な値動きに振り回されてしまいます。またすでに成熟した大企業への投資になりがちです。一方、PEは必然的に投資期間が長期にわたり、対象となる企業の規模やステージが多様です。ベンチャー企業や成長企業、成熟企業や再生企業への投資案件など、企業の成熟度に応じて投資することが可能です。各フェーズにおいて収益源泉も異なるため、企業への投資でありながら投資時間軸に分散させることができるという意味で、PE投資は有効でしょう。

続いて、不動産とインフラストラクチャーについてです。前編のテーマでもあった高止まりするヘッジコストの対応策として、利回り向上の一環としてこれらの資産は有効だと考えています。

すでにPDに投資済みの方もいるかもしれませんが、不動産やインフラストラクチャーはクレジットとは異なる収益源泉を有しています。加えて、今後、インフレが高止まりする可能性や将来的な景気悪化にも目を配る必要がありますが、その際、相対的にGDP感応度が低く、インフレに強いインカム性資産としてインフラは注目すべき資産でしょう。

3つの目のPDは、金利上昇には強い特性を有していますが、景気の不透明さや資金調達コストの上昇は無視できません。加えて、ファンド側のレバレッジコストも高まっているため、過去の適温相場時代と比べても注意が必要です。そのため、マネジャーの銘柄選択能力が一層重要になります。

 

銘柄間格差拡大やボラティリティ正常化はヘッジファンドには好機

 

オルタナティブ投資の中でHFは、今後投資機会に恵まれる可能性があると考えています。その要因は主に3つに集約されます(図1)。

 

1つは銘柄間格差の拡大が見込まれる点です。海外では利上げによって企業の資金調達コストが上昇する中でも、それを賄えるだけの収益性や効率性が求められています。日本においても東京証券取引所が低PRBの上場企業に対して改善要請を行うなどの動きがあり、改善できる企業とそうでない企業とで差が生じる可能性があります。その銘柄間格差をロングショート戦略によって収益機会として捉えることができるでしょう。

2つ目には市場間格差の拡大が挙げられます。先進国の中でも米国はいち早く金融引き締めに動きましたが、日本においてはまだ緩和が続いています。HFの中にはこうした市場間の方向感の違いを収益機会できる戦略もあります。

3つ目ですが、市場ボラティリティが出てきたことにより、HFの主な投資手法であるショートポジションが有効になる点です。これまでは緩和的な金融政策に加えて政府の財政サポートも期待できるため、資産価格は上昇しやすい環境でした。しかし、金融引き締めによってボラティリティは正常化しています。このような状況で、下値リスクが高まる投資対象をショートポジションによって収益機会にできると考えられます。

オルタナティブ投資の両輪とも位置付けられるプライベートアセットとHFは、今後も引き続き活用する意義があると考えられます。

多様な投資目的があるプライベートアセットの注目点は

オルタナティブ投資に関しては、プライベートエクイティ(PE)、不動産やインフラストラクチャーといった実物資産、プライベートデット(PD)、ヘッジファンド(HF)のカテゴリーに分けて注目ポイントを解説していきたいと思います。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1
前の記事
ラッセル・金武伸治氏が解説する運用課題の解決のヒント【為替ヘッジ編】
2023.11.15

おすすめの記事

大和証券の売れ筋に見える投資家の力量、パフォーマンスが低迷してもトップ10をキープできるファンドとは? 

finasee Pro 編集部

金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点

川辺 和将

「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化

finasee Pro 編集部

【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント

文月つむぎ

資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況

finasee Pro 編集部

著者情報

Finasee編集部
ふぃなしーへんしゅうぶ
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
大和証券の売れ筋に見える投資家の力量、パフォーマンスが低迷してもトップ10をキープできるファンドとは? 
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
コア預金モデル高度化に取り組む背景と今後の課題~地銀担当者と開発者によるパネルディスカッション
第13回 運用資産に関わる常識を疑え!(その2)
高金利通貨での運用は有利?
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(1)インデックスファンドはトラッキングエラーに注目
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(1)インデックスファンドはトラッキングエラーに注目
「分配金」重視姿勢は根強いものの予想分配金提示型でトータルリターンを評価の流れ、野村證券の売れ筋にみる変化
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
信頼たる資産運用アドバイザーには理由(わけ)がある “進化”した米国の資産運用ビジネスから日本が学ぶべき点は何か? 【米国RIAの真実】
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
金融庁「地域金融力」強調の狙いは地銀再編の再ブーストか?金融審WG初会合の注目点
【プロはこう見る!投資信託の動向】
2025年4月の株価急落は変化のトリガー、米国株式への強烈な資金フローの向かう先とは?
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
金融庁の大規模改編案は、下火気味の”プラチナNISA構想”の二の舞になるのか?【オフ座談会vol.7:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
【文月つむぎ】投資初心者を狙う「フィンフルエンサー」の脅威に備えよ 法規制があいまいな「グレーゾーン助言」の実態
「支店長! 同行訪問していただく際、緊張してうまく話せなくなってしまいます!」
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら