開示に消極的な企業が少なくない理由
政府が人的資本に関する指標の開示を義務化する前から、保険会社や商社は開示に積極的でした。これらの業種の場合、機関投資家から受けるプレッシャーが強いことに加え、業態の特性上、人材の優位性が事業の優位性に結びつきやすいという要因が挙げられます。保険会社や商社は企業規模が大きいため、人的資本の開示に必要な労力を割きやすいという面もあります。
このたび政府が全上場企業を対象に開示の義務化に踏み切ったことで、これまで人的資本に関する取り組みを公表してこなかった企業は猛スピードで対応に追われました。有価証券報告書は、基本的にはグループ全体の連結で開示しなければなりません。連結対象の子会社が多いと、取り組みの状況を集計するだけでも一苦労です。