宅配便で思い出した大失敗

2人を送り出してから佳織はリビングに戻った。仕事は休みだが、のんびりしている暇はなかった。掃除に買い物、そして平日用に作り置きも何品か用意しておきたい。博樹が帰ってくるまでに何ができるかを逆算しながら、佳織は家事をこなした。

昼前、掃除が一段落したところで、佳織は博樹を送り届けて帰宅していた健吾と、リビングでつかの間の休息を取っていた。するとインターホンが鳴り、佳織は玄関に向かった。玄関前には配達員が段ボールを抱えて立っていた。佳織はサインをして宅配物を受け取ろうとした。しかし、段ボールの上にきれいなのしが貼られていて、思わず固まった。のしには「御中元」と達筆な文字で書かれていた。

「……あ」

佳織はにわかに脂汗をかきながら宅配物を受け取り、リビングに戻った。

「……あれ、何それ?」

「……お中元。お義母さんからだったわ」

健吾は納得したようにうなずいた。

「ああ、もうそんな時期か」

「ど、どうしよう……」

「何が?」

「今年、送るの忘れてた……」

毎年、お中元やお歳暮を義実家と贈り合っていた。それなのに今年は完全に忘れてしまっていた。今すぐに送ろうかと思ったが、とてもじゃないが間に合わない。謝るほかにないだろう。

ため息をついた佳織は恐る恐る征子に電話をかけた。

「お義母さん、佳織です。お中元届きました。本当にありがとうございます」

「あら、届いたのね。良かったわ」

電話の向こうからはいつもと変わらない征子の声が聞こえてきた。

「博樹、野球を頑張ってるでしょ。暑い中練習した後で食べてほしくてゼリーにしたの。博樹にもおばあちゃんが応援してたって言っておいてくれる?」

「……いつもありがとうございます。そこまで考えてくださって」

征子の気遣いに心が痛んだ。

「……それで、お義母さん、本当に申し訳ないんですけど……私、今年のお中元を送るのをすっかり忘れてしまっていて」

「……忘れてた?」

「……はい。バタバタしてて忘れちゃって」

佳織は申し訳ない気持ちで説明した。