近年の相続では、相続財産に株や債券どころか、仮想通貨が含まれることも増えてきた。ただ、数ある金融商品中でも、仮想通貨は特に値動きが激しいため、相続の場面でしばしば厄介な存在となる。

今回は、そうした価格変動の大きい資産を相続する際の怖さについて紹介したい。

いち早く仮想通貨に目をつけていた

今回の登場人物は次の4名だ。

 

・長男の剛生さん

・次男の悠斗さん

・長女の麻子さん

・3人の母である近藤さん


近藤さんは生粋のインターネットユーザー。彼女の半生はインターネットとともにあったといっても過言ではない。

私の家は、私が小学生のころからインターネットを契約し、パソコンも1人1台ずつ割り当てられていた。一般家庭の中ではかなり早い時点からそうなっていたのは、近藤さんの影響だった。

私の母が近藤さんから「これからの時代は絶対インターネットだ」と聞いたせいだった。

そんな近藤さんは、仮想通貨を知るのも人一倍早かった。

情報リテラシーが高い彼女は、人々がようやくビットコインの名前を知ったころには、既に海外の取引所で取引を重ねており、一山どころか二山も三山も当てていた。

そんな近藤さんは昨年、病気で亡くなった。

「折り入って相談したいことがある」

近藤さんが亡くなり相続が始まったが、私ははじめ多少は荒れるだろうと思っていた。

私は、近藤さんと私の母が出席する会合に同席することが多いのだが、その場で、悠斗さんら近藤さんの子どもたちの雰囲気を聞いていた。

加えて、悠斗さんとはとある社会人サークルでここ10年ほど定期的に顔を合わせており、話をする機会も多い。そのため、遺産を兄弟姉妹間で平穏無事に分割できるイメージがわかなかったのだ。

 

近藤さんが亡くなって少し経った頃に、悠斗さんから「あなたを親友と見込んで、折り入って相談したいことがある」と連絡があった。

ある程度予想はしていたが、内容は相続のことだった。