finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

「うちは登録の予定ないから大丈夫」じゃ済まされない?「暗号資産交換業のセキュリティ方針案」に金融庁がにじませた“心配事”

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2026.02.20
会員限定
「うちは登録の予定ないから大丈夫」じゃ済まされない?「暗号資産交換業のセキュリティ方針案」に金融庁がにじませた“心配事”

金融庁は2月10日、「暗号資産交換業等におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針(案)」を公表しました。交換業への参入の主だった動きは、足元では大手どころに限られています。しかし方針案の文面からは、近い将来にビットコインETFなどが解禁されて暗号資産投資の裾野が拡大していく状況を見据え、金融庁が幅広い業種に対して抱いている懸念がにじみます。

ミニマムスタンダード化も辞さず

取組方針案では、暗号資産を標的としたサイバー攻撃の脅威が広がる中、間接的な攻撃を含めてその手口が複雑化、巧妙化している現状を指摘。「国内外の投資家において暗号資産が投資対象と位置付けられる状況が生じている」とした上で、暗号資産交換業者として登録を受ける事業者自身の「自助」、事業者どうしが協調する「共助」、行政を巻き込んだ「公助」の3つのアプローチから、セキュリティの強化を促す考えを示しています。

 

このうち自助については、各事業者のサイバーセキュリティ態勢について「重点的にモニタリング」を行う姿勢を明示。ガイドラインで求めるサイバーセキュリティの水準の引き上げを通じ、人的構成、外部監査、外部委託先に求められる要件などについて、それぞれのあり方を検討するとしています。

また、既存の他業種にこれまで実施を求めてきた自己評価の枠組み(サイバーセキュリティセルフアセスメント、CSSA)については、2026事務年度以降、暗号資産交換業者についても全社を対象に実施を求める姿勢を明記しています。

 

共助に関しては、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)などを念頭に、自主規制機関における監査能力向上を促すとともに、各事業者に対し、JPCrypto-ISACなど情報共有機関への積極的な参加を促す姿勢を打ち出しました。公助の領域では、業界横断的に実施しているサイバーセキュリティ演習(Delta Wall)について、暗号資産交換業者向けのシナリオに磨きをかける構えを見せています。

 

金融庁幹部は「曲がりなりにも暗号資産交換業を営んでいる方々が、サイバーセキュリティについて何ら取り組んでいないということはおよそないと信じている。私たちが求めていくものは既にやってらっしゃることではと期待している」と説明。その上で、「そこ(事業者側のセキュリティの取り組み)が足りないということであれば、一定の時間猶予の中で水準感を高めていただくこともあるし、ミニマムスタンダードとベストプラクティスという考え方もあるだろう。そこを含めて、業界と対話していく」と発言しました。

取組方針そのものは直接的な法的拘束力を持たないものの、将来的なルール整備の可能性をほのめかした格好です。

 

うちの会社が暗号資産ETFを取り扱う場合は…?

暗号資産が資金決済法の枠組みから金融商品取引法に移行されることを見据え、すでに大手証券会社の間では、暗号資産交換業の新規登録に向けた準備の動きが見られます。

ただし今回の取組方針案に示されているように、実際の登録には人材確保、体制整備などのハードルがあり、リソースの制約を意識する中小事業者にまで参入の機運が波及するとは考えにくそうです。暗号資産の現物よりも、既存の金融商品取引業のライセンスで取り扱える暗号資産ETFの取り扱いを検討する方が、多くの事業者にとって現実的と言えるでしょう。

 

今回の取組方針はあくまで暗号資産登録業者におけるサイバーセキュリティを対象としているため、暗号資産ETFは範疇外です。しかし、ETFであっても現物と同じように、暗号資産の流出リスクが形を変えて存在します。

 

ある金融庁職員は「取組方針案の前提となる問題意識には、暗号資産ETFの取り扱いにも共通するところがある」と指摘。「海外で出回っている暗号資産ETFを見ると、流出などが生じた際の補償範囲について、あらかじめ明示している。日本国内で今後組成される商品も同様だとすれば、それを取り扱う販売会社の営業現場において、万が一の際の補償のルールを含め、商品性について顧客にきちんと説明できるかが新たな論点になるだろう」といいます。

金融庁は今回の取組方針案について、3月11日夕方までパブリックコメントを実施して業界内外から意見を募り、その中身を踏まえて方針を最終化する予定です。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #金融庁
  • #暗号資産

おすすめの記事

三菱UFJ銀行の売れ筋で長期コアの「MUFGウェルス・インサイト・ファンド」が浮上、好成績ファンドに「利益確定」売りも

finasee Pro 編集部

「支店長! 研修は受けたのですが、投信をセールスできる気がしません。慣れるしかないのでしょうか?」

森脇 ゆき

三井住友銀行で新ファンド「フューチャーガイド」がトップ、「世界のベスト」も根強い人気

finasee Pro 編集部

SBI証券の売れ筋で「FANG+」に代わって「日本株4.3ブル」が人気化、「逆張り」で下落した国内株ファンドを選択?

finasee Pro 編集部

SMBC日興証券の売れ筋で人気化する「革命」3ファンド、SpaceXやByteDanceなど未上場株に投資するファンドも浮上

finasee Pro 編集部

著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「支店長! 研修は受けたのですが、投信をセールスできる気がしません。慣れるしかないのでしょうか?」
三井住友銀行で新ファンド「フューチャーガイド」がトップ、「世界のベスト」も根強い人気
三菱UFJ銀行の売れ筋で長期コアの「MUFGウェルス・インサイト・ファンド」が浮上、好成績ファンドに「利益確定」売りも
SMBC日興証券の売れ筋で人気化する「革命」3ファンド、SpaceXやByteDanceなど未上場株に投資するファンドも浮上
「支店長は投信販売の経験がありませんよね? 契約を取れと簡単に言わないでください!」
楽天証券の売れ筋は「順張り」の米国株ファンドが浮上し、「逆張り」の日本株ファンドが後退
【文月つむぎ】「NISA限定の投資助言免許を」 金融庁アドバイス報告書に透ける思惑
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
真のDXによる変革の実現に向けて・従業員価値の定義
北國フィナンシャルHD 杖村社長インタビュー
改革により目覚めた顧客中心主義の地域金融機関
質の高い助言で個人の資産形成をトータルに支援
「支店長! 研修は受けたのですが、投信をセールスできる気がしません。慣れるしかないのでしょうか?」
三井住友銀行で新ファンド「フューチャーガイド」がトップ、「世界のベスト」も根強い人気
SMBC日興証券の売れ筋で人気化する「革命」3ファンド、SpaceXやByteDanceなど未上場株に投資するファンドも浮上
野村證券の人気ファンドは「半導体」など米国テクノロジー株に回帰、国内株ファンドの人気は失速
さりげないにも程がある!見落としがちな最近の金融庁重要資料3選
“インプリンティング効果”とこどもNISA--ヒナは最初に見たものを親と思い、ヒトは最初の販社と一生付き合う?

SBI証券の売れ筋で「FANG+」に代わって「日本株4.3ブル」が人気化、「逆張り」で下落した国内株ファンドを選択?
三菱UFJ銀行の売れ筋で長期コアの「MUFGウェルス・インサイト・ファンド」が浮上、好成績ファンドに「利益確定」売りも
資金流入額ランキング上位に4月の新設ファンドが2本、「ノムラ・エマージング」と「MS フィジカルAI」 =資金流入額上位20ファンド
「支店長は投信販売の経験がありませんよね? 契約を取れと簡単に言わないでください!」
【金融風土記】地元愛「日本一」、愛知の金融動向を深掘りする
解約高止まりのプルデンシャル生命が打ち出した「構造改革」の3つの注目点
さりげないにも程がある!見落としがちな最近の金融庁重要資料3選
「支店長は投信販売の経験がありませんよね? 契約を取れと簡単に言わないでください!」
“インプリンティング効果”とこどもNISA--ヒナは最初に見たものを親と思い、ヒトは最初の販社と一生付き合う?

資金流入額ランキング上位に4月の新設ファンドが2本、「ノムラ・エマージング」と「MS フィジカルAI」 =資金流入額上位20ファンド
「支店長! 研修は受けたのですが、投信をセールスできる気がしません。慣れるしかないのでしょうか?」
こどもNISAと「NISA貧乏」――「投資枠」ではなく「初動率」をいかに上げるか
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉛
1-3月に過去最高の資金流入! 背景にある日本株と金(ゴールド)への強気スタンス
三井住友銀行で新ファンド「フューチャーガイド」がトップ、「世界のベスト」も根強い人気
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら