finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
注目!チャレンジする地銀

「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ

Ma-Do編集部
Ma-Do編集部
2025.06.09
会員限定
「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ

資産運用に対する機運がかつてないほどに高まる昨今、販売会社は投資に対する顧客の理解を深め、その裾野を広げるべく、日々さまざまな取り組みを行っている。顧客本位の資産運用に対する特徴ある取り組みを行っている販売会社に注目し、その取り組みや意義について担当者に迫るシリーズ企画です。

1998年の投信窓販の解禁以降、銀行の預り資産業務にさまざまなビジネスモデルが誕生してきたが、なかでも証券子会社の設立による「銀証連携」は、窓販の在り方を変えたと言っても過言ではないだろう。
その先駆けとなり、「銀証連携」モデルをリードしてきたのが、静岡銀行と静銀ティーエム証券だ。連携に課題を抱える地方銀行が少なくないにもかかわらず、両社の関係は円滑に機能してきた。4人のキーパーソーンの話をもとに、その成功のカギを探ってみたい。

 

証券子会社の設立による「銀証連携」のビジネスモデルが、地方銀行の預り資産業務におけるスキームの1つとして定着してきたのは間違いない。一方で、近年は証券子会社を活用した仕組み債の販売が金融庁から問題視され、多くの地方銀行が仕組み債の販売からほぼ撤退する格好となった。結果として、大半の証券子会社で収益が落ち込み、足元ではその存在意義すら問われる状況に陥っているのは周知の通りだ。

そんな中でにわかに注目を浴びているのが、静岡銀行を中核とする、しずおかフィナンシャルグループの傘下にある静銀ティーエム証券。同社も仕組み債の影響を受けたのは確かではあるものの、依然として高い実績をあげ、グループへの収益貢献度の高さでも知られている。ここからは、地方銀行の「銀証連携」における数少ない成功事例とも言える静岡銀行と静銀ティーエム証券のビジネスモデルを検証してみたい。

役割分担を明確にしたうえで「銀証連携」モデルが始動

そもそも銀行による証券子会社の設立は1993年の規制緩和によって可能となり、以降の数年で新たな証券会社が数多く誕生したが、現在はそのほとんどが廃業するなどして存在していない。それに対して2000年に静岡銀行が当時の東京三菱銀行グループと共同で設立した静銀ティーエム証券は、投信窓販の解禁を受けたものである点が従来の証券子会社とは異なると言っていいだろう。同社の設立によって静岡銀行の投信販売は投資初心者を対象とした積立投資を中心に、それ以外の顧客は適合性を確認し静銀ティーエム証券に紹介するという形で明確にすみ分けていく。

静銀ティーエム証券の設立当初、同社に出向していた経歴を持ち、静岡銀行のライフプランサポート部で部長を務める小杉伊知郎氏は次のように振り返る。「当時の銀行のカルチャーからすると、やはりリスク商品の販売にかなりの警戒心があったのは事実です。だからこそ、いわば『餅は餅屋』という考え方で、主に証券会社の専門人材で投信販売を担う体制を採用したわけです」。しかも、1997年に山一證券が廃業した影響もあり、証券会社の人材を確保しやすい時期でもあった。そうした専門性の高い人材による同社の「銀証連携」モデルは功を奏し、しずおかフィナンシャルグループは地方銀行グループの中でも投信販売でトップクラスの実績をあげていくことになる。

静岡銀行 ライフプランサポート部 部長 小杉 伊知郎氏

両社の連携スタイルは、商品の説明から約定までを静銀ティーエム証券が担い、銀行は顧客のニーズに合わせて証券に紹介するもの。ただし、静銀ティーエム証券の誕生以降に設立された地銀系証券は、必ずしもそのスタイルを踏襲していない。例えば、相対的にリスクの高い商品を証券で、それ以外を銀行本体で行うケースも多い。その場合は銀行本体でもまとまった金額での一括投資提案を行うので、すみ分けがやや曖昧となり、そこが課題にもなるわけだ。つまり、両社が役割分担を明確にした点が、成功の第一のカギであると捉えてよさそうだ。

持株会社への移行によって銀行と証券が対等な関係に

とはいえ、最も歴史の古い地銀系証券でもあるだけに、その連携の在り方には「紆余曲折があった」(小杉氏)のも確かで、静岡銀行と静銀ティーエム証券の関係性も徐々に変わってきた。特にここ数年は大きな変革が続き、1つのターニングポイントとなったのが、銀行持株会社であるしずおかフィナンシャルグループが2022年10月に設立されたことだろう。それまで「証券子会社」だった静銀ティーエム証券は、静岡銀行とともに持株会社の並列子会社になることで、いわば同格の「グループ証券」へと変化を遂げたことになる。

静銀ティーエム証券 執行役員(銀証連携担当) 営業推進部長兼
コンサルティング営業部長 山本 二三夫氏

「やはり子会社から兄弟会社になったことで、意識が大きく変わったのは間違いありません」。そう話すのは、静銀ティーエム証券の執行役員で銀証連携を担当する山本二三夫氏。山本氏はもともと静岡銀行の出身だが、「証券側から見ると、銀行は敷居が高いというイメージがあったのは否めない」という。「現在ではそうしたイメージもなくなり、ハード面でもソフト面でも両社の関係が近づいた実感があります」

静銀ティーエム証券の佐野香織氏も、「もともと銀行と証券とでは水と油と言えるほど文化の違いがあり、しかも親会社である銀行から仕事をもらっている感覚が、かつてはあったのも事実です」と話す。「けれども、持株会社に移行したことで、当社の社員であるとともにしずおかフィナンシャルグループの一員だという意識も高まり、現在はフラットな関係になってきています」

静銀ティーエム証券 清水支店 支店長 
現:人財開発部 部長 佐野 香織氏

1998年の投信窓販の解禁以降、銀行の預り資産業務にさまざまなビジネスモデルが誕生してきたが、なかでも証券子会社の設立による「銀証連携」は、窓販の在り方を変えたと言っても過言ではないだろう。
その先駆けとなり、「銀証連携」モデルをリードしてきたのが、静岡銀行と静銀ティーエム証券だ。連携に課題を抱える地方銀行が少なくないにもかかわらず、両社の関係は円滑に機能してきた。4人のキーパーソーンの話をもとに、その成功のカギを探ってみたい。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
次のページ 両社の連携深化の要因は?
1 2

関連キーワード

  • #地銀
  • #銀証連携
前の記事
「投信のパレット」の進化形でコンサルティングのさらなる高度化へ case of ふくおかフィナンシャルグループ
2025.03.13
次の記事
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
2025.09.03

この連載の記事一覧

注目!チャレンジする地銀

お客さまとその家族を深く知り、寄り添い続け、総資産の増加を目指すストックビジネスへ case of 横浜銀行

2026.09.03

顧客の「将来」と「今」に価値を提供し、地域に好循環を生み出すのがFFGの使命 case of 福岡銀行/ふくおかフィナンシャルグループ

2026.06.09

「銀証連携」の強化と「支社体制」の導入でコンサルティング営業の高度化を加速 case of 東京きらぼしフィナンシャルグループ

2026.03.04

ふくおかフィナンシャルグループは「資産形成と決済」で日常と未来に寄り添う次のステージへ
~「投信のパレット」7000億円突破と新サービス「vary」

2026.02.17

経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行

2025.12.05

「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行

2025.09.03

「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ

2025.06.09

「投信のパレット」の進化形でコンサルティングのさらなる高度化へ case of ふくおかフィナンシャルグループ

2025.03.13

「リターンの提供」に徹底的にこだわりつつ
法個一体で対面の付加価値も高めていく

2024.12.12

わずか2カ月強で協定締結を実現!
常陽銀行が始めた「5金融機関と教育委員会」との金融教育

2024.11.26

おすすめの記事

楽天証券の売れ筋で「日本株4.3倍ブル」が急伸、好成績の「世界のベスト」は順位を下げる

finasee Pro 編集部

政府内で「成長促進保証」創設案が浮上――金融機関のリスク負担割合は引き上げへ

川辺 和将

【金融風土記】各業態で「集約」進む福井県の金融動向

佐々木 城夛

「サイバー有事前夜」、誰が資産を守るのか――金融の利便性を支える責任と連携

文月つむぎ

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㊲
NISA買付額は成長投資枠がけん引! ただし、年後半は毎月分配型の存在感高まる

藤原 延介

著者情報

Ma-Do編集部
ま・どぅへんしゅうぶ
「Ma-Do(Marketing-Do)」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けた専門誌です。「資産所得倍増プラン」の旗印のもと「貯蓄から資産形成」への機運が高まる昨今、金融機関の資産運用アドバイザーの役割はますます高まっているとともに、リテールのビジネスもさらなる発展が求められています。「Ma-Do」は、投資信託を資産運用のコアとしてアドバイスを行う銀行や証券会社、IFAなどと、運用会社や保険会社をつなぐコミュニティ・メディアとして、金融リテール・ビジネスの発展をサポートする情報を発信しています。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
【金融風土記】各業態で「集約」進む福井県の金融動向
政府内で「成長促進保証」創設案が浮上――金融機関のリスク負担割合は引き上げへ
【アクセンチュア・中野将志氏インタビュー】「スピードボート」戦略で実現させた、世界初のフルクラウドバンキング
「支店長! お客さま本位で考えれば、新NISAはネット証券の方が良いのではないでしょうか」
「支店長! もっと自分を必要としてくれる会社に転職したいです」
個人向け国債、現場はどう向き合うか~顧客対応と社内評価の実態を探る
第8回 金融庁がマネー・ローンダリング対策を厳格化 製造業・中古車輸出業の調査負担がきつくなる?
国内株は高値一服で押し目買いの資金流入が拡大、高パフォーマンスはヘルスケア関連株ファンド=25年11月投信概況
「過去の実績上位」だけに頼らない投資信託の提案アプローチ ~10年間のデータが示すファンド成績の入れ替わりと販売現場で役立つ活用ポイント~
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉗
金価格上昇の1年で、金関連ファンドの残高が急拡大
個人向け国債、現場はどう向き合うか~顧客対応と社内評価の実態を探る
【金融風土記】各業態で「集約」進む福井県の金融動向
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㊲
NISA買付額は成長投資枠がけん引! ただし、年後半は毎月分配型の存在感高まる
政府内で「成長促進保証」創設案が浮上――金融機関のリスク負担割合は引き上げへ
【第4回】オルタナティブ戦略ファンドは何を見て選ぶのか
「サイバー有事前夜」、誰が資産を守るのか――金融の利便性を支える責任と連携
楽天証券の売れ筋で「日本株4.3倍ブル」が急伸、好成績の「世界のベスト」は順位を下げる
J-FLECの労作「家計見える化報告書」で“先送り”にされた2つの論点
【みさき透】今泉宣親・金融庁銀行第二課長インタビュー
投信ビジネスで培った信頼は預金の粘着性につながる
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」第21回:“106万円の壁”撤廃の影響を受けるセクターとは
個人向け国債、現場はどう向き合うか~顧客対応と社内評価の実態を探る
【みさき透】今泉宣親・金融庁銀行第二課長インタビュー
投信ビジネスで培った信頼は預金の粘着性につながる
「支店長! もっと自分を必要としてくれる会社に転職したいです」
【第4回】オルタナティブ戦略ファンドは何を見て選ぶのか
中途半端な再発防止策も容赦なく「処分の対象」に?--他人事にしにくいプルデンシャル行政処分の3つの注目点
三菱UFJ銀行の9月ランキングで「ウェルス・インサイト(標準型)」がトップ維持、「世界のベスト」が急浮上
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㊲
NISA買付額は成長投資枠がけん引! ただし、年後半は毎月分配型の存在感高まる
ゆうちょ銀・郵便局の売れ筋は上位6本が不動、代表6資産がすべてマイナス成長だったバランス型は順位が交錯
【金融風土記】各業態で「集約」進む福井県の金融動向
中国銀行の売れ筋で外国株式ファンドの勢力図を再編、「世界のベスト」「WCM」が上位固定の一方で新興勢が存在感
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら