finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

日証協会長が挙げた今期の注力テーマ iDeCo拡充にプロガバ確保、そして「家族サポート口座」…

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2024.10.09
会員限定
日証協会長が挙げた今期の注力テーマ iDeCo拡充にプロガバ確保、そして「家族サポート口座」…

10月2日に都内で開かれた全国証券大会では、森田敏夫・日本証券業協会会長が登壇し、証券界、資産運用業界の今後の方針について語りました。岸田政権下で官民が推進してきたNISA普及、J-FLECを通じた金融リテラシーの向上に引き続き注力するとともに、iDeCo拡充、家族サポート証券口座の実現、ミドルバックオフィス業務の横断的協力による効率化などについて検討や働きかけを進める考えを表明しました。

株価乱高下、「おおむね冷静に対応」

昨年の大会で、新NISAや金融経済教育推進機構(J-FLEC)などの新たな器に魂を入れ、「貯蓄から投資へ」の流れを正しく導いていくと宣言していた森田氏。「あれから1年、私達の長年の悲願でありました『貯蓄から投資へ』の流れは間違いなく動き始めたと確信している」と語りました。

 

その背景について、「政府の強いリーダーシップによって導入された新NISAがこうした動きの大きな起爆剤となったことはいうまでもない」と指摘。また、「日本のデフレからの脱却や、10年来のコーポレートガバナンス改革の成果なども後押しをした。日経平均株価はバブル期の高値を更新し、一時4万2000円を超える水準にまで到達した。8月上旬、株価は大幅な乱高下に見舞われたが、中長期的成長の視座に立ち、おおむね冷静な対応が図られたと感じている」と述べました。

 

そのうえで「私達の命題は、動き始めた『貯蓄から投資へ』の流れを一時的なブームに終わらせることなく、さらに大きなうねりにそして持続的なものにできるよう、業界をあげて取り組んでいくことだと考えている」と説明。「政府が打ち出している資産運用立国の実現に向けても、前向きな変化を追い風に、インベストメントチェーンを構成する各社による一体的な取り組みを推進していく」と決意を語りました。

 

家族サポート口座「センシティブだが避けて通れない」

今期注力するテーマとしては、(1)国民の資産形成支援の強化、(2)SDGsの達成に向けた取り組み、(3)金融資本市場の魅力向上に向けた取り組み、(4)スタートアップ育成の支援、(5)DXの促進、(6)高齢社会に対応した金融サービスの実現に向けて、(7)業界全体のレベルアップに向けた取り組み、(8)業界全体のミドルバックオフィス業務の効率化に向けた取り組み――の8つを挙げました。

 

このうち、(1)の資産形成支援強化については、「三つの柱」としてNISAのさらなる普及、J-FLECのサポートを通じた金融リテラシーの向上、iDeCoの拡充を掲げました。

 

また、(6)の高齢社会対応に関しては、「『家族サポート証券口座』(高齢世代の資産運用・管理や、次世代へその資産を検証するための代理人取引の仕組み)をぜひとも実現させたい」と強調。「この取り組みは皆さんお分かりの通り、大変センシティブなものだが、超高齢化社会になっている我が国において、避けては通れない重要な取り組みであることも事実なので、しっかり取り組んでいく」と述べました。

 

(7)の業界レベルアップについては、顧客の最善の利益にかなった商品提供がなされるよう、製販売全体として、プロダクトガバナンスの確保に向けた取り組みを推進するとしました。これについて森田会長は「『貯蓄から投資へ』という動きを健全で、サステナブルなものにしていくために、私達自身が更なるレベルアップを図らなければならない」と説明しました。

 

(8)の業務効率化に関しては、ミドルバックオフィス業務の従事者の確保が難しくなっている状況を踏まえ、「業界横断的に取り組むことが可能な業務もあるのではないか、コスト削減にも繋げることができるのではないかという観点で、チャレンジングな取り組みではあるものの、取り組んでいきたい」と述べました。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #金融庁

おすすめの記事

IBMから画商に転身して抱いた"違和感"の正体とアート市場の「リアル」

川辺 和将

成長と財源の両立に具体策はあるか?野党「NISA再強化提言」に見る多党制時代の“建設的議論”のあり方

文月つむぎ

2025年の新規設定額トップは伝統的な株式・債券のバランスファンド、新しい投資アイデアを提案する新ファンドも続々 =25年11月新規設定ファンド

finasee Pro 編集部

米国経済 Deep Insight 第14回
年末商戦の出足が示す米国消費の持続力

窪谷 浩

⑫自社株評価から考える相続対策の本質

木下 勇人

著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
2025年の新規設定額トップは伝統的な株式・債券のバランスファンド、新しい投資アイデアを提案する新ファンドも続々 =25年11月新規設定ファンド
米国経済 Deep Insight 第14回
年末商戦の出足が示す米国消費の持続力
IBMから画商に転身して抱いた"違和感"の正体とアート市場の「リアル」
成長と財源の両立に具体策はあるか?野党「NISA再強化提言」に見る多党制時代の“建設的議論”のあり方
「AI以外はほぼリセッションに近い」米国経済はAIバブルか? ―強さと弱点から見通す2026年“変わりゆく”世界経済と投資環境
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
米国RIAが語るプライベート市場の進化と個人投資家への拡大【米国RIAの真実】──Midland Wealth Managementのエミル・スキ氏とジェイク・ステープルトン氏に聞く
10年国債利回り2%接近でみずほ銀行の売れ筋に単位型ファンド、利回りニーズをとらえた人気ファンドとは?
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
10年国債利回り2%接近でみずほ銀行の売れ筋に単位型ファンド、利回りニーズをとらえた人気ファンドとは?
「AI以外はほぼリセッションに近い」米国経済はAIバブルか? ―強さと弱点から見通す2026年“変わりゆく”世界経済と投資環境
利益相反リスクを内包する日本の「総合証券モデル」「顧客本位」の下で求められる「顧客は誰か」という定義
「遵守か説明か」から「遵守か合併か」に――2026年の地銀政策はどこへ?金融審「地域金融力WG報告書案」を深読み
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
【運用会社ランキングVol.5】IFA法人からは「キャピタル」、「フィデリティ」、「アライアンス・バーンスタイン」の米系3社が盤石の高評価/IFA法人編
2025年の新規設定額トップは伝統的な株式・債券のバランスファンド、新しい投資アイデアを提案する新ファンドも続々 =25年11月新規設定ファンド
三菱UFJ銀行の売れ筋は「日経225」に人気集中、「純金」に代わって「オルカン」人気が復調
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
【金融風土記】東日本大震災からまもなく15年、福島の金融勢力図を読む
「中途半端は許されない」不退転の覚悟で挑むリテール分野への新たなるチャレンジ case of 三菱UFJフィナンシャル・グループ
【プロはこう見る!投資信託の動向】
NISAに必要か?「毎月分配型」「債券メイン」ファンド、「特定の年齢層対象の制度」
新たな商品・制度の導入は、投資家のリスク許容度・理解度が鍵
【運用会社ランキングVol.1】販売会社が運用会社に求めるものは、運用力か人的支援か? 2025年の評価を発表!
長野市vs松本市"不仲説"を乗り越え統合の八十二銀・長野銀が、「もう取引しない」と立腹の取引先と雪解けに至るまで
【運用会社ランキングVol.4】野村アセットマネジメントが2年連続トップ、3位に急浮上したのは大和アセットマネジメント/ゆうちょ銀行・郵便局編
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
「遵守か説明か」から「遵守か合併か」に――2026年の地銀政策はどこへ?金融審「地域金融力WG報告書案」を深読み
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら